ゆたかな丘 News & Events

教科書を何回も音読すること

 教科書を読むときに何回も音読するとさらに効果的です。『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大家庭教師の会著(PHP)には、文科3類2年の内田成美(仮名)さんの「教材は教科書一本で勉強していた」という報告が載っています。その方法は次のものです。

 「何度も繰り返し読み、流れを頭の中に入れていました。読むときには、ペンなども
 持たずに、本を読むのと同じような感じで。特に手で書いたりしなくても、何度も繰
 り返し読んでいくだけで、内容が頭の中に入ってくるものですよ」pp.15-16
 
 内田さんは教科書の読み方のコツを説明します。
 
 「全部を丸暗記しようというのではなく、全体の流れをつかみ、出てくる用語が全部
 理解できていればよし、という意識でやっていました。難しくてわかりにくかったと
 ころは、立ち止まって調べる。そして、日を改めて再開するときには、前回立ち止ま
 ったところに少し戻り、そこから読んでいくようにしていました」。p.16
 
 全体の流れをつかむ→用語を理解する→わかりにくいところを調べる→再び、読むという流れです。さらに内田さんの勉強法は速読で読むことに特徴があります。
 
 「時間を短縮するために、なるべく速いスピードで読んでいました。速く読むと、そ
 れだけ多くの内容に目を通せますから。それと、テストに向けての訓練、といった意
 味合いもある。例えば英文などの場合、実際のテストでは、あまり時間がないなかで
 長文を読み解かなくてはならない。そのため、日頃から速く読んで理解できるよ
 うに、と頑張っていました」。p.16
 
 速読ができるようになるには何回も繰り返し読むことが必要です。読み込むうちにスピードが上がります。
 
 「初めはゆっくり読み、理解していく。その後、何度も読んでいくと、用語の意味や
 人名などが頭の中に入ってくる。すると、回を重ねるごとに、速く読めるようになっ
 てきます。最終的には、内容がほぼ頭の中に入っているので、サーッと流して読める
 ようになる。何度も読んで完璧に理解すれば、その文章をザッと流し見するだけで、
 不思議と目から頭の中へと内容がスムーズに入ってくるような感覚になるんです」。
 p.17
 
 内田さんの例は、何回も読むことで理解が進み、内容も覚えてしまったという例です。覚えなくても繰り返し教科書を読むことで、理解が深まることは確かです。読むときに音読が良いのは、音読すると読み飛ばしがなくなり、内容が頭に入ってくるようになるからです。最初はおおまかな理解でよいのです。繰り返す中で細部を理解できるようになります。                 校長 見目 宗弘