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2020年6月の記事一覧

理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される(2)

 3 大切なポイントを理解する
 理解には理解のポイントがあります。それを押さえることで理解しやすくなります。
 認知心理学者の市川伸一先生は『勉強法が変わる本ー心理学からのアドバイス-』(岩波ジュニア新書)という著書の中で数学の理解のポイントを示しています。数学の勉強で大切なのは「日常モード」と「学問モード」の区別です。

 ぼくたちは、日常語については、定義をいちいち習わなくても、いろんな具体例を
 通して意味がわかっていることが多い。イヌの定義を聞いた覚えがある人はいない
 だろう。子どものころから「あれは、ワンワン」とか「あれは、ニャンニャン」と
 か教えられて,自分でも使っているうちに、意味をつかんでしまうのである。当然
 ながら、定義を求められてもうまく言うことができない。こういうのは、日常モー
 ドの学習といえる。一方、学校での勉強はだいぶようすが違う。数学をはじめ定義
 がたくさん出ている。もともとは、それぞれの学問の中で決められたもので、それ
 が教科書に書かれている。「……を○○という」というパターンになっているもの
 は、まず定義だと思ってさしつかえない。それを通して、意味を理解せよと言われ
 るのである。これが学問モードの学習だ。それまで日常モードでやっていた子ども
 にとってはかなりつらい。でも、とりあえず、この2つの習い方の違い、つまり
 「日常モード」と「学問モード」の違いを意識しておくこ とは大切だ。pp.68
 -69

 数学の勉強のポイントは「学問モード」の勉強に切り替えることです。

 習ったはずなのにわからない、説明できないという人は、勉強方法を直したほうが
 いい。日常モードでの学習に留まっている可能性が高いからである。学校で習う教
 科の世界とは、もう学問モードにはいっているのだ。もちろん、学問の世界とまっ
 たく同じではない。定義が簡略化されたり、あいまいにされたりしているところは
 あるが、少なくとも中学校、高校では、もうその入口から中にはいっている。p.
 73
 
 「学問モード」の勉強でかんじんなポイントは「定義と具体例」を押さえることです。

・学問モードでは定義をつかって学習やコミュニケーションがなされるんだけど、そ
 れだけじゃわかりにくいんで、具体例とセットにするわけだ。それが学び方の第一
 歩だよね。p.73
・では、うまく説明できなかったときは、どうするのだろうか。簡単なことである。
 教科書や参考書を見直してみればいい。とくに、定義と具体例に注意して読むの
 だ。ぼくが学習相談をする中で見ている限り、そうした読み方をしている生徒はほ
 とんどいない。数学や物理では、教科書などほとんど読まずに、問題を解いて答え
 合わせをしているだけという生徒がすごく多い。それでは先生の解説や、テスト問
 題の意味さえわからなくなってくるのも当然である。pp.73-74

 
 このように大切なポイントを押さえて理解することで、理解しやすくなります。
 各教科、それぞれの単元でポイントがあります。ぜひ、各教科の先生にポイントを教えてもらってください。4に続く。       校長 見目 宗弘

 理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される(1)

 理解は理解すべきものの示され方によって、わかりやすくもなったり、わかりにくくなったりします。また、説明者にも左右されます。理解は感情に左右されるのです。そのことを見ていきます。

 1 簡単なことを先に理解し、難しいことを後から理解する
 理解には順番があります。簡単なことを先に理解し、後から難しいことを理解するという順番です。大まかに理解し、その後で細かく理解するということもそうです。実は教科書がこのように作られています。教科書は、簡単な問題から難しい問題へと配列されています。教科書をていねいに読み込んでいけば理解しやすいようになっています。


 2 適切な量を理解する
 また、理解には量も関係します。一度にたくさんのことを理解しようとすると理解しきれません。そのため、量をしぼりこんで理解することが良いです。これを実践に移すと次のようになります。

 参考書の内容をスムーズに理解する秘訣 添野航平(仮名)・文科1類1年
 小さな範囲を重点的に繰り返し読む
 「はやる気持ちに押されて、先へ、先へとひたすら進んでいくのは、私はあまりお
 すすめできません。1回の勉強時間単位で考えるなら、広範囲をザッと流すのでは
 なく、限られた範囲を重点的に何度も繰り返し勉強する方が、絶対的に効果的で
 す」。
 「例えば参考書を読むなら、すぐに頭に叩き込もうとするのではなく、初回は軽く
 読む程度に、回を重ねるごとに、深く理解していくようにした方が、スムーズに進
 みますよ」。p.106 『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えま
 す』東大家庭教師の 会著(PHP)

 
 3に続く。                  校長 見目 宗弘

理解には際限がない

 勉強方法を考えるときに「理解」→「定着」→「応用」という流れで考えていくと書きましたが、理解には際限がありません。
 例えば、皆さんが見知らぬ街の指定された目的地に行かねばならないとします。教えてもらった道順どおりに行くと目的地にたどり着けます。ひとまず「道順がわかった」と言えます。それでも、一本違う道に入り込んだとたんに道に迷ってしまいます。このようなとき、迷いながらもうろうろしながら街の様子がわかってきます。歩き回ったことで、目的地までの新しいルートがわかってきます。そのとき「新しい道順がわかった」ことになります。このように理解には際限がありません。同じことが勉強でも言えます。

 自分では既有知識を駆使し、制約条件のすべてを充足する、一応もっともらしい完
 全な説明をうみ出すことができた、その意味でよくわかった、と思っても、既有知
 識を異にする別の人にとっては必ずしもそうではない。それが相手への質問や批判
 となって出てくることになり、これに答えようとすると、今までの説明(理解)で
 は不十分で、さらにもっとわからなければならない部分があることにお互い気づ
 く。そこでさらにまた考え続けることになる。(中略)こうして「わかっている状
 態」から「わからない状態」へ、さらに再び「わかっている状態」へのいう具合
 に、二つの状態をくり返しながら、次第により深く理解が進んでいくのである。
 p.129 『人はいかに学ぶか 日常的認知の世界』稲垣佳世子・波多野誼余夫
 著(中央新書)

 「わかっている状態」というのは一安心している状態で、別の角度からものを見ると「わからない状態」になってしまうのです。「わからない状態」を解消しようとしてさらに理解すると次の段階の「わかっている状態」になります。理解には時間がかかります。

 いいかえれば、理解をともなう学習には時間がかかるのである。時間に追われ、多
 くのことを速やかに処理しなければならない場合には、とても深い理解など達成で
 きない。p.63 『人はいかに学ぶか 日常的認知の世界』稲垣佳世子・波多野
 誼余夫著(中央新書)

 
 勉強方法において、「理解」→「定着」→「応用」という大まかな流れはありますが、「定着」においても「応用」においても、理解はかかわっています。「定着」と「応用」を早く行いたいという気持ちがあるでしょうが、「理解」に時間をかけ大切にしてほしいと思います。             校長 見目 宗弘

難しいことは入門書や概説から理解する

 国語や社会や理科の難しさは、数学や英語の難しさとは違います。ある単元はわかるけれども別の単元はわからないという難しさです。例えば、理科で「天気」のところはわかるけれど、「電気」のところはわからないという、部分的な難しさです。
 わからない理由は、数学や英語と同じで、その分野の蓄積された情報が不足しているから、新しいことを理解できないのです。
 これは大人でも同じです。私は哲学書を読んだとき、字面は追えても、内容は全く入ってきませんでした。それどころか、読み進めるうちに眠くなってきてしまいました。哲学に関して、蓄積された情報がなかったため、理解できなかったのです。
 私は入門書を読み、大筋を理解した上で、もう1度哲学書を読み直しました。そうすると、1回目より、ずっと理解できるようになりました。
 入門書や概説から入るということは、苦手な分野や領域を理解する上でとても重要なことです。東大生もこのことを勉強法に活用しています。

 レベルの高い本に挑戦するための良い方法 高瀬明美(仮名)・工学部3年
 難しい本を読む前に、雑誌を探す
 「私の場合ですが、例えば現在学んでいる建築関係の難しい本に挑戦しなければな
 らないとき、まずはそれに類するちょっと軽めの雑誌や、写真が多めの本を探して
 きて読む。そして、少しでも興味が持てるようにするわけです」(中略)
 「自分にとってとっつきやすいところからアプローチし、興味が持てるようになっ
 たら、徐々にステップアップすればいいのではないでしょうか」。p.108
 『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大家庭教師の会著
 (PHP)

 
 この事例は興味をもつために雑誌や写真が多めの本を読むという事例ですが、簡単な本を読むことで、情報が蓄積されています。
 苦手な分野、苦手な領域の学習では、いきなり全てを理解しようとせず、大まかな内容から理解した方が理解しやすくなります。ただ大まかな内容がまとめられたものが教科書には出ていないので、現時点ではそこが難しいところです。(トップダウンの情報処理を行うところで述べますが、「自ら大まかにまとめること」が方法かと思います。)                   
                          校長 見目 宗弘

 理解には理解する素地が必要である。

 私たちは自分の経験や頭の中に蓄えられた情報をもとに新しいことを理解しています。このことを宇佐美寛という大学の先生は次のように説明しています。

 学習者に与えられた情報は、この蓄積構造の中のある部分に組みこまれ他の情報と
 関連づけられる。基底の直接経験の層の情報にまで結びつく。これが情報を「解釈 
 した」ということであり、「解釈内容を得た」ということでもある。p.144
 『授業にとって「理論」とは何か』宇佐美寛著(明治図書)

 
 頭の中にすでにある情報の蓄積構造に位置づけられるとき、理解できるのです。だから、頭の中に蓄えられた情報が不足していると、新しいことが理解できなくなります。積み上げの教科である数学と英語にはその傾向が顕著です。そのため、数学や英語では以前学習したところまで遡って学習し直す必要があります。

 数学の事例
 例えば、中3の「関数y=ax(2)」でつまずいたなら、中2の「一次関数」へ、そ
 れでもまだ難しい場合は中1の「変化の対応」までさかのぼります。小学生レベル
 の「比例・反比例」まで戻ることにもためらう必要はありません。「理解」に重点
 を置いて学習し直すことが、克服につながるからです。 開倫塾 和田英明「数学 
 パターン習得で向上」『読売新聞』2014年(平成26年)6月27日(金)

 英語の事例
 中2で入塾したA君は英語が苦手で、成績もなかなか伸びないことが悩みでした。
 彼は、中2までに身につけておくべき単語・熟語・基本文型などの基礎知識が抜け
 落ちていました。これらの基礎知識は、英語の4つの力(読む・聞く・書く・話
 す)を支える英語の柱です。この柱をしっかりと築くことができずにつまずいてし
 まったのです。そこで、「音読を徹底的に繰り返す」ことをA君に課しました。
 (中略)中3になった今では、苦手だった英語が得意教科となり、偏差値は35か
 ら55へと大幅に向上しています。 開倫塾 中谷克信「英語『音読』が効果的」
 『読売新聞』2015年(平成27年)10月9日(金)

 
 数学や英語では理解できるところまで戻って、学習し直す必要があります。
                         校長 見目 宗弘

新聞に出ていた、読むことで理解する事例

 新聞に出ていた、読むことで理解を深める事例を紹介します。国語の場合は教科書の理解ではなく、読むこと自体の力をつける事例です。

 国語 コラムを読み、読む力をつける
 特にお薦めなのは、1面にあるコラム(読売新聞では「編集手帳」)です。タイムリ
 ーな話題が比較的短い文章で、「起承転結」の組み立てで書かれているため、とても
 読みやすいです。また、見出しがないため、先入観をもたずに読むことができます。
 そこで、家族の皆さんや友達と一緒に同じコラムを読んで見出しをつけ、その理由や
 内容について意見交換してみましょう。 開倫塾 津久井幸「新聞で考える力をつけ
 よう」『読売 新聞』2016年(平成28年)8月14日(日)
 
 社会 教科書の音読
 あらゆる教科の学習の基本は教科書です。ですから、社会もまずは教科書の全内容を
 覚える意気込みで声を出して読む音読にはげんでください。 開倫塾 鈴木一昭「分
 野別 歴史年表を作ろう」『読売新聞』2016年(平成28年)5月1日(日)
 
 数学 参考書を繰り返し読む
 市販の参考書には大きく2つのタイプがあります、1つは、高校受験に必要な知識が
 網羅されているもの、もう1つは、基礎・基本の理解に重点を置き、テーマを絞って
 詳細に解答や解説をしているものです。参考書は自分のレベルに応じたものを選ばな
 ければなりません。苦手克服には、「理解」に重点を置いた後者が適切です。1度読
 んでわからなくても、間をおいて、2度、3度と繰り返し読みましょう。そうする
 と、少しずつ内容が頭に入ってくるようになります。根気よく、理解しようと努める
 ことが重要です。
 開倫塾 和田英明「数学 パターン習得で向上」『読売新聞』2014年(平成26
 年)6月27日(金)
 
 理科 教科書や参考書の音読
 体温では、「恒温」は周りの温度が変化しても体温がほぼ一定に保たれ、「変温」は
 周りの温度変化に伴って体温が変化します。このように、教科書に出てくる語句一つ
 ひとつの意味をしっかり理解することがたいせつです。教科書や参考書をよく音読す
 ることをお勧めします。 開倫塾 岡部正行「理科 疑問持つこと大切」『読売新
 聞』2017年(平成29年)7月17日(月)
 
 英語 教科書の音読→語句調べ→日本語訳→英文に直すこと→○つけ
 そこで、その日に学習した教科書のページを音読しましょう。音読の際に、読み方や
 意味がわからなかった場合はすぐに調べましょう。その後、教科書の本文の日本語訳
 が自分でできるかをノートに書き出して確認しましょう。次に、ノートに書いた日本
 語を英文に直す作業をしましょう。英文を書き終えたら、教科書の内容と比較して、
 間違えた部分を赤ペンで直し、間違えた文章や単語を覚えるまで声に出しながら書く
 練習をしましょう。開倫塾 津久井幸「英語 まず教科書音読」『読売新聞』201
 7年(平成29年)6月26日(月)
 
 各教科、あくまでも1つの事例ですが、教科書の音読を大切にすることで、かなり理解できることがわかります。                                    校長 見目 宗弘

教科書を何回も音読すること

 教科書を読むときに何回も音読するとさらに効果的です。『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大家庭教師の会著(PHP)には、文科3類2年の内田成美(仮名)さんの「教材は教科書一本で勉強していた」という報告が載っています。その方法は次のものです。

 「何度も繰り返し読み、流れを頭の中に入れていました。読むときには、ペンなども
 持たずに、本を読むのと同じような感じで。特に手で書いたりしなくても、何度も繰
 り返し読んでいくだけで、内容が頭の中に入ってくるものですよ」pp.15-16
 
 内田さんは教科書の読み方のコツを説明します。
 
 「全部を丸暗記しようというのではなく、全体の流れをつかみ、出てくる用語が全部
 理解できていればよし、という意識でやっていました。難しくてわかりにくかったと
 ころは、立ち止まって調べる。そして、日を改めて再開するときには、前回立ち止ま
 ったところに少し戻り、そこから読んでいくようにしていました」。p.16
 
 全体の流れをつかむ→用語を理解する→わかりにくいところを調べる→再び、読むという流れです。さらに内田さんの勉強法は速読で読むことに特徴があります。
 
 「時間を短縮するために、なるべく速いスピードで読んでいました。速く読むと、そ
 れだけ多くの内容に目を通せますから。それと、テストに向けての訓練、といった意
 味合いもある。例えば英文などの場合、実際のテストでは、あまり時間がないなかで
 長文を読み解かなくてはならない。そのため、日頃から速く読んで理解できるよ
 うに、と頑張っていました」。p.16
 
 速読ができるようになるには何回も繰り返し読むことが必要です。読み込むうちにスピードが上がります。
 
 「初めはゆっくり読み、理解していく。その後、何度も読んでいくと、用語の意味や
 人名などが頭の中に入ってくる。すると、回を重ねるごとに、速く読めるようになっ
 てきます。最終的には、内容がほぼ頭の中に入っているので、サーッと流して読める
 ようになる。何度も読んで完璧に理解すれば、その文章をザッと流し見するだけで、
 不思議と目から頭の中へと内容がスムーズに入ってくるような感覚になるんです」。
 p.17
 
 内田さんの例は、何回も読むことで理解が進み、内容も覚えてしまったという例です。覚えなくても繰り返し教科書を読むことで、理解が深まることは確かです。読むときに音読が良いのは、音読すると読み飛ばしがなくなり、内容が頭に入ってくるようになるからです。最初はおおまかな理解でよいのです。繰り返す中で細部を理解できるようになります。                 校長 見目 宗弘

理解はインプットである

 勉強の最初はインプットです。予習であれば教科書の文章を読むこと、授業であれば先生の話を聴くことがそれにあたります。
 
 では、最も基本的な学習とは何でしょうか。それは、文章を読むことです。すべて
 はそこから始まると言っても、過言ではありません。まずはリラックスして机に向
 かい、落ち着いて本を読む癖をつけることが大切です。(中略)文章を読む、人の
 話を聴く、そして文章を書く。これが勉強の基本です。その最初の部分でつまずい
 てしまっては、その後の勉強すべてに支障を来してしまいます。pp.82-83
 『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』森山真有著(PHP文庫)

 
 このインプットが案外おろそかにされている傾向にあります。教科書を丁寧に読む、教科書を繰り返し読むということです。教科書を繰り返し読むことで自力で理解できることが多いのではないでしょうか。
 インプットをより効果的にするには、家で予習し、授業で質問するという流れを作ることです。

 私は、予習は「した方がいい」という考えです。その理由は2つあります。第一
 に、教科書を一通り読む程度の予習であっても、それによって次にどんな勉強をす
 るのかわかります。たとえ内容がよくわからなくても、「次はわかりにくそうだ」
 という見通しを持つことができます。それだけでも、授業に臨む姿勢が違ってくる
 でしょう。第二に、予習して少し内容がわかったとしても、おそらく、わからない
 ところもあるはずです。そうすると、「ここは注意して聞こう」といった構えがで
 きます。つまり難しいところ に適切にエネルギーを振り向けることができるので
 す。p.41
 『学習支援のツボ 認知心理学者が教室で考えたこと』佐藤浩一著(北大路書房)

 
 予習の目的は「難しそうなところ」「わからないところ」を明らかにすることです。それらを明らかにした上で、授業に臨むことで聴くべきところに力を集中することができるのです。予習によって「読む→聴く」という2つのインプットができ、インプットが確実になります。授業ではわからないところをどんどん質問して欲しいと思います。                  校長 見目 宗弘

 理解を知る6つの視点

 数学で「何を問われているのかがわからない」と思った問題が、後で先生から解説を聞いてみると実は難しくなく、自力で解けた問題だったという経験が生徒の皆さんにはあったと思います。最初に「何を問われているのかがわからない」と思ってしまったところに、理解というものの性質が色濃く出ています。理解は感情に左右されてしまうものなのです。
 理解について詳しく知ることは、勉強の質を高めることにつながります。理解について、以下、次の6つの視点から見ていきます。

 1 理解はインプットである。
 2 理解には理解する素地が必要である。
 3 理解は際限がない。
 4 理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される。
 5 アウトプットで理解が確かになる
 6 理解の当面のゴールはトップダウンの情報処理である。

                            校長 見目 宗弘

理解してから覚える

 勉強方法を考える上で一番大切なのがこの「理解」の部分です。しかし、多くの人が「定着」に意識があり、理解していないまま定着させようとしている傾向があります。後の「定着」のところでも触れますが、丸暗記が通用するのは「知識記憶」が優位にある小学時代です。「経験記憶」が発達してくる中・高時代は、理解していないと覚えにくくなってしまうのです。
 それほど「理解」が大切なのに、「理解」についてはあまり語られていないように思います。「理解」を詳しく理解することが、勉強のつまずきを解消することになると思うので、しばらく考察していきたいと思います。        校長 見目 宗弘