校長室だより

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意識が広がった修学旅行

 修学旅行の思い出をたどると、みんなでお寺や神社をまわったことが思い出されます。修学旅行の目的とは、今も昔も日本の文化や歴史に興味をもつことではないでしょうか。普段の旅行と違い、同級生と旅行して学習することも大きな目的の1つです。
 今年度の中学校修学旅行を引率するにあたって、単に見学するだけではなく、日本の文化・歴史に興味をもって何かを学んでこようと考えました。その1つが仏像の見方です。これまで、特徴的な仏像は心に残っていたものの、仏像の種類や見分け方は知りませんでした。調べてみると仏像は、如来、菩薩、明王、天などに分類されることがわかりました。大きく4種類しかないのです。如来は悟りを開いた仏で人々を苦しみから救うものです。菩薩は修行中の身で人々を救うもの、明王は大日如来の化身の姿で、煩悩に怒りを表すもの、天は仏教を守護するもので、古代インドの神々が仏教に吸収されたものです。見分けるという視点によって見方が変わり、「大きな仏像がある」から「如来である盧舎那仏(大仏)がある」とイメージが変わりました。その後、なぜ如来が建立されたのかと思いが広がりました。仏像から日本の文化・歴史に意識が広がった瞬間でした。
 子どもたちの学習においても、興味関心がある部分的な事柄から、その全体へと広がることがあります。子どもたちが行っている学習は、部分と全体とのつながりを知ることによって効果が高まっていきます。現在は情報化の時代と言われて、世界中の情報がどこにいても見ることができます。部分はどこにいても手に入ります。まず、部分を手に入れるには、子どもたちの興味関心のセンサーに反応するかです。修学旅行は本物とふれ、そのセンサーが大きく反応していました。この経験が大人になったとき、どのような思い出となって残っているのでしょうか。