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2020年6月の記事一覧

 理解を知る6つの視点

 数学で「何を問われているのかがわからない」と思った問題が、後で先生から解説を聞いてみると実は難しくなく、自力で解けた問題だったという経験が生徒の皆さんにはあったと思います。最初に「何を問われているのかがわからない」と思ってしまったところに、理解というものの性質が色濃く出ています。理解は感情に左右されてしまうものなのです。
 理解について詳しく知ることは、勉強の質を高めることにつながります。理解について、以下、次の6つの視点から見ていきます。

 1 理解はインプットである。
 2 理解には理解する素地が必要である。
 3 理解は際限がない。
 4 理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される。
 5 アウトプットで理解が確かになる
 6 理解の当面のゴールはトップダウンの情報処理である。

                            校長 見目 宗弘

理解してから覚える

 勉強方法を考える上で一番大切なのがこの「理解」の部分です。しかし、多くの人が「定着」に意識があり、理解していないまま定着させようとしている傾向があります。後の「定着」のところでも触れますが、丸暗記が通用するのは「知識記憶」が優位にある小学時代です。「経験記憶」が発達してくる中・高時代は、理解していないと覚えにくくなってしまうのです。
 それほど「理解」が大切なのに、「理解」についてはあまり語られていないように思います。「理解」を詳しく理解することが、勉強のつまずきを解消することになると思うので、しばらく考察していきたいと思います。        校長 見目 宗弘

まず最初に、自分を理解する

 勉強関係の本を読んでいて意外と記述が少ないのがこの「理解する」ということについてです。理解したことを前提として多くの勉強方法が語られている感じがして、「勉強がわからない」「勉強方法がわからない」という声の大元はここにあるのだなと思います。
 さて、理解について深く掘り下げる前に、見落としがちな面を最初に押さえておきます。それは自分自身についての理解です。自分自身についての理解の大切さを述べているのは伊沢拓司さんです。伊沢さんは次のように述べています。伊沢さんの説明の中の「対策」はテストの対策のこと、「相手」は学習内容のことです。

 「対策」という言葉を聞くと、どうしても相手のことばかりに意識が行ってしまい
 がちです。しかし、戦いの場に立つのは、相手ともうひとり、自分がいます。勝負
 の変数は2つあるのです。相手がx、自分がyの2元方程式であり、両方に数字を
 入れないと答えは出ません。そもそも対策といった時に相手のことばかりが意識さ
 れてしまうのは、「自分のことは自分がよく知っている」という前提があるからだ
 と僕は思うんです。しかし、果たしてみなさんは自分のことを理解している、と言
 い切れるでしょうか?ぼんやりとは理解しているとは思います。(中略)しかし、
 ゲームのプレイヤーデータを見るような客観性で自分を分析し、それに対して対策
 を取る、みたいなことができる人は少ないはずです。pp.49-50   『勉強大
 全』伊沢拓司著(KADOKAWA)
  
 まず、自分のことを理解していないといくら良い学習計画を立てても誘惑に負けてしまい実行に移せません。学習計画が絵に描いた餅になってしまいます。だから、伊沢さんは自分への対策の必要性を述べます。

 
 自分の弱い面を「知らないふりをして放置する」のではなく、「知った上で、その
 正確を前提とした対策を取る」のです。夕飯を食べた後に怠けてしまうようなら、
 食後はお風呂タイムにして、食事前や入浴後に勉強するとか。p.51

 
 伊沢さん自身はゲーセンが大好きなので、その前を通らないように対策を立てているということです。
 自分を理解するということは勉強法を考える際の出発点です。自分を理解し、計画が実行に移せるような対策を立てて勉強に取り組みたいところです。  
                           校長 見目 宗弘

勉強法を考える順番

 前置きが長くなりましたが、いよいよ勉強方法について見ていきます。勉強方法を考える際、「理解」→「定着」→「応用」という順番で詳しく見ていきます。この順番は新聞の次の記事を参考にしたものです。
 
 【理解】
 理解とは、「うん、なるほど」とよくわかることです。まず、予習で教科書・テキ
 ストを読み、自分の分からないところを明らかにします。授業では、わからなかっ
 たところを集中的に聞き、教科書に書かれていないことや、先生が強調しているこ
 とをメモに取ります。さらに疑問があれば、先生に必ず質問して、その日のうちに
 解決するように努 めてください。
 【定着】
 授業を受けたその日のうちに、復習として、3大練習(音読・書き取り・計算)や
 教科書の例題・基本問題に取り組みます。一度覚えたことも、1日たつと半分以上
 を忘れてしまいます。理解した内容を確実に身に着(ママ)けるためには、何より繰り
 返すことが大切です。①大事なことが口をついてスラスラ言える②楷書で正確に書
 ける③基本的な問題 は見た瞬間に答えが出せる—状態になれば、定着したと言え
 ます。
 【応用】
 応用とは、理解・定着したことを「用いる」こと、つまり得点力を身に着(ママ)ける
 ことです。そのために取り組むのが問題練習と間違いノート作りです。教科書や
 ワーク、テストで間違えた問題を記録します。このとき、間違いはそのまま残して
 おくのがポイントです。解答・解説をよく読み、間違えた理由や注意点を赤ペンで
 書き込みます。自分がどの段階でつまずいたのか、何が原因なのかを繰り返さない
 ために必要な練習に取り組むことで、得点力を高めることができます。
 「受験必勝ゼミナール 新学年 学習のポイント」開倫塾講師 緒方滋泰
 『読売新聞』2014年(平成26年)4月4日(金)

 
 この説明を参考にして、これから「理解」「定着」「応用」を深く掘り下げて、勉強方法を考えていきたいと思います。        校長 見目 宗弘

勉強する目的

 勉強について整理すると、大変なことをしなくてはならない気持ちになり、「知識を覚えたり、情報活用力をつけたり、そこまで大変な思いをしてわざわざ勉強しなくても良いです」という声が中学生の皆さんから聞こえてきそうです。しかし、それは教育が当たり前に施されている日本にいるから思えること。
 今から100年以上も前の話になりますが、学校制度ができた頃のイギリスでは「子どもは大切な労働力なのに、どうして子どもを学校に行かせなくてはならないんだ。」と、保護者が学校に殴り込みに行ったという記録が残っています。このような歴史を振り返ると、学校に来て勉強することは、皆さんの大切な権利であるように思います。
 自分自身のために、勉強するという権利を行使してほしいと思います。その上で、次のような言葉があることを心のどこかにとどめておいてくれたら、うれしいです。
 
 人はなぜ勉強しなくてはいけないのか。私自身の考えを申しますと、「人や社会の役
 にたつための勉強する」が答えです。他者の役に立つために、私たちは生まれてき
 た。愛する家族のため、愛する隣人のため、愛する社会のために私たちは生きている
 のだと、そう考えています。p.16
 『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』森山真有著(PHP文庫)
                                                         校長 見目 宗弘