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ゆたかな丘 News & Events

新入生説明会開催

 昨日、来年度本校に入学予定の児童と保護者を対象に、新入生説明会を開催いたしました。児童には生徒会役員が行事や部活動など中学校生活について話をし、保護者には、担当教職員から学習や生活、集金等に関して、PTA会長からPTA活動等に関して説明がなされました。その後児童は体育館へ移動し、ドッジボールをして小学校どうしの交流を深めました。そして、親子部活動見学で幕を閉じました。これを機に少しでも不安が解消され、希望を胸に中学校への進学を準備していただけたらと願っています。

教育委員会訪問

 本日は市の教育委員会の方々に来校を請い、我々の日々の授業力向上を目指して校内研修会を実施いたしました。午前中は公開授業、午後は研究授業(3年生英語)を行いました。今後も、より質の高い授業を提供できるよう努めてまいる所存です。

厨房工事完了・引渡

 厨房工事が工期どおり完了いたしました。新しい機器も加わり、施設が充実したように見受けられます。今朝学校側に引き渡され、明日からは学校での給食調理に戻ります。
 今日は、外部委託業者からの給食が最後ということで、数種類の中からパンやデザートのゼリーを各々選んで食しました。

 

なお、来春からは、大桑小学校の給食もここで作られ、運ばれていく予定です。

避難訓練実施

 本日午後、火災を想定した避難訓練を実施いたしました。1学期は、学年単位での避難経路の確認に留まりましたが、今回は実際に全校一斉に避難しました。整然と避難できました。最後に校長が、「火災に出くわさないことが何より。ただ、もし火災現場に居合わせたなら、どんな状況下でも落ち着いて避難してもらいたい。今日は公民館職員も参加してくださったが、生徒の皆さんは本校生徒であると同時に地域の一員でもあるので、その自覚をもって行動してほしい。」との講評を述べました。

 

地区内交流試合の続報

[ 剣 道 部 ]団体戦:な し
         個人戦:2年生1回戦突破,1年生初戦敗退
 
 ○顧問総評○ 「成長の跡が見られた。一方で課題も多く見つかったので、
      さらに今後の練習に熱を入れて励んでほしい。」

駐車場出入り口の制限

 厨房工事の関係で、本日より翌週火曜日まで、駐車場の出入口が制限されます。具体的には、ふだん出口として使用している箇所を入り口としても使用いたします。以前通知文を配布いたしましたので、詳しくはそちらで御確認ください。大変御不便をおかけしますが、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。

校内ドッジボール大会開催

 昨日、生徒会レクとして校内ドッジボール大会が開かれました。実行委員が中心となって準備、運営にあたり、みんなで楽しめる行事となりました。いざ始まりますと、勝負がかかっているためか、投げる球にも力が入り、鋭いボールが行き交いました。白熱した試合が続きましたが、優勝は3年1組、準優勝は3年2組、第3位は2年1組という結果に終わりました。上級生の面目躍如といったところでしょうか。
  
 また、さっそく農園野菜の購入に御協力いただき、ありがとうございました。白菜は品切れになり、今朝新たに御用意いたしました。売れ行き好調のようですので、数多くの皆様に行き渡るよう、御配慮をお願いいたします。

とよおか農園より

 本日、農園指導者お二人の手をお借りして、ステップ学級生徒と職員とで栽培していた野菜の収穫を行いました。大根約60本、白菜約30玉が、昇降口入ってすぐの販売所に並んでいます。水洗いしたばかりの野菜は、みずみずしく新鮮さが伝わってきます。
  
 例年ですと、豊中祭の折に販売しておりましたが、今年度は開催しないため、三者懇談の期間中に販売することにいたしました。収益金は、手をつなぐ親の会の収入となり、有効に活用されますので、ぜひお立ち寄りください。
 なお、既にお知らせは各御家庭に配布済みですが、以下の点に御注意ください。
・1つ百円 ※無人販売になることもあり、釣り銭なきようお願いいたします。
・マイバック持参 ※特に野菜を入れる袋は用意してございません。

地区内交流試合の続報

 [卓球男子個人シングルスベスト16
 
 ○試合の様子○ 「グループ予選リーグを勝ち抜き、決勝トーナメントに駒を進め
       ました。」

性に関する指導

 昨日英語の研究授業を行った増渕さんが、本日教育実習最終日を迎えました。元気はつらつとして、本校に爽やかな風を送り込んでくれたように思います。

 また、本日は助産師の藤岡様を招き、全学年で「性に関する指導」を実施いたしました。妊娠から出産に至る過程、思春期の体の変化などを詳しく説明してくださいました。心と体には個人差があるので、その違いを理解し、思いやりの心をもって他者に接することができたならと願っています。

今年度初の表彰式

 今日は、生徒集会に続き、学校集会を行いました。

先の地区交流試合の表彰で、今年度初の表彰式でした。受賞した皆さんの健闘をたたえるとともに、惜しくも受賞を逃した皆さんの今後の精進と活躍にも期待したいと思います。
 

地区内交流試合続報

バレーボール部優 勝
 
 ○顧問総評○ 「力が安定して発揮できず、途中劣勢になったり競ったりする
      場面もあったが、何とか念願の優勝を手にすることができた。
      守備力はもちろんのこと、攻撃力に磨きをかけていきたい。」

[ 野 球  部 初戦敗退

 ○顧問総評○ 「力の差を痛感した試合でした。足りないものは練習です。
      来季県大会出場に向け、1日1日を大切に練習します。」

地区駅伝大会出場

 昨日、地区駅伝競走大会が開催され、落合中学校校庭での周回コースにて、出場校5校で競い合いました。結果は、男女ともに大沢中学校が1位となり、本校男子チームは4位、女子チームは5位でした。また、オープン個人レースでは、3年男子2名が上位8名の中に入りました。
 指導、引率にあたった職員の話によると、上位入賞には至らなかったものの、朝練を含む毎日の練習の成果が出たようで、それぞれがベストの走りを見せていたようです。
 参加にあたって御協力くださった保護者の皆様に御礼申し上げます。

後期教育実習生来る



 先日19日(月)より、大学生の増渕さんが本校で教育実習を行っています。学級は2年1組、教科は英語、部活動はバレーボール部です。期間は、30日(金)までの2週間です。さっそく昨日から朝の会などで指導にあたっています。

地区内交流試合始まる

 新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、例年9月に行われている地区新人体育大会は実施せず、代わって部ごとの交流試合が始まりました。3年生が引退し、1、2年生にとっては、待ちに待った本格的な試合です。緊張するかもしれませんが、精いっぱい頑張るよう、健闘を祈りたいと思います。
 早速ですが、ソフトテニス部とサッカー部の試合結果をお知らせいたします。応援ありがとうございました。

ソフトテニス部団体戦:優 勝
         個人戦:準優勝,第3位

 ○顧問総評○ 「今年度初めての本格的な試合だったが、皆よく頑張っていたと
      思う。まだまだ伸びしろがあり、今後のさらなる活躍を期待したい。
       次回は、個人戦で上位独占を狙いたい。」

サ  ッ  カ  ー  部準優勝

 ○顧問総評○ 「以前よりも確実に成長した姿が見られ、うれしかった。
      と同時に、チームとしての課題も浮き彫りになった。総じてよい
      交流試合であった。」

進路説明会

 年間の大きな行事を終え、落ち着いて学習に取り組む時期に入ってまいりました。そういう中で迎えた9日(金)の進路説明会。3年生とその保護者の方々を体育館に集め、私立高校、県立高校の入学試験等に関して、3学年職員がその概要をひととおり説明いたしました。その後、各会場に分かれ、御来校いただいた、今市、今市工業、日光明峰、鹿沼、鹿沼東、鹿沼南、鹿沼商工の各高等学校の教職員より、それぞれの学校の特徴や学科の内容などの説明を受けました。入試が刻一刻と迫る中、生徒達は真剣なまなざしで話に聞き入っていました。
   
 なお、2年生もキャリア教育の一環として各高等学校の説明会に参加し、早くも卒業後の進路を考えるよい機会となったようです。

遠足(1年,2年)

 先日の9月29日(火)、1年生は奥日光に、2年生は益子、茂木に遠足に出かけました。1年生はグループごとにガイドが付き、説明を聞きながら大自然の中を散策しました。2年生は、益子の陶芸美術館を訪れた後、ツインリンクもてぎに移動し、体を動かしながら、友達と楽しく過ごしました。
  
 「日光の自然の奥深さや、生育に適さない環境でも頑張って生きている植物など、自然の強さを知ることができた。この美しい自然を大事にしていきたいと思った。」(1年実行委員長談)
  
 「陶芸美術館では、人間国宝の濱田庄司さんの作品を見ることができてよかった。そして、ツインリンクもてぎでは、HONDAのいろいろな車を見たり、アスレチックなどで遊んだりして、一日中楽しかった。」(2年実行委員長談)

修学旅行(3年)

 期日や行き先の変更など紆余曲折を経て、ようやく実施にこぎ着けた修学旅行。9月24日(木)出発当日、台風接近により天候悪化も心配されましたが、3日間の東北方面への行程を無事終了いたしました。3年生にとって一生の思い出に残る旅行になったなら幸いです。

    
             
 「中尊寺や瑞巌寺など、歴史あるお寺のことを知ることができた。特に、外枠が木造建築の金色堂は印象的で、興味深かった。
 皆と行動を共にする中で、ふだんあまり話さない人とも話すことができ、とても楽しい旅行だった。」(実行委員長談)              

修学旅行 旅行行程の変更について

3年生保護者の皆様、3年生生徒の皆様
台風が来ているため、修学旅行の行程に変更があることをメールでお伝えしました。
旅行の行程について、次のようになりますので、お知らせ致します。
お互いを思いやり、楽しい旅行にしてきましょう。
修学旅行 新日程.pdf

学校の臨時休業について

保護者の皆様 お世話になっております。
  
突然のことで誠に恐れ入りますが、9月23日(水)は市内の全小中学校が臨時休業とすることになりました。
詳細はメールでの通知を御覧ください。
今後追加の連絡等がある場合は、メール配信と学校ホームページでお知らせいたします。

通信票配布

 今年度は、当初の新型コロナウィルス感染症対策に伴う臨時休業の影響で、年間の成績を例年の学期ごとの3回でなく、前期と後期の2回にしました。今日は、前期の通信票配布の日でした。保護者の皆様、もう御覧いただけましたか。生徒の皆さん、頑張ったことは素直に自分を褒め、課題として残ったことは今後どうしたらよいかを考え、改善に向けてさらに努力しましょう。連休が明けたら、「おっ、今までよりもやる気満々。」と言われるくらいの姿を期待しています。

豊中生 家庭学習の手引きを配りました

夏休み前に予告した「豊中生 家庭学習の手引き」ができあがりました。
本日、全生徒に配りました。現時点での生徒達へのアドバイスです。
もっと良い答えはあるかも知れませんが、1つの方法として参考になれば幸いです。

この「豊中生 家庭学習の手引き」を活用して、生徒達に学習していきたいと思います。
                             校長 見目 宗弘

豊中生 家庭学習の手引き.pdf

1年生日光彫りを体験

 本日、日光みらい科の時間に、1年生が日光彫りを体験しました。五十嵐漆器店から招いた4名の講師の方の御指導を受けながら、事前に作成した下絵を基に、ペン立てや手鏡、ミニアルバムなど自分で選んだ材料に、ひっかき刀などを使って彫りました。全体的に「器用で上手」と褒められました。講師の皆様、おかげさまで貴重な体験ができました。ありがとうございました。

  

運動会続報

 先週開催された運動会の続報です。今回は、熱中症予防と新型コロナウィルス感染症対策の両観点から、競技種目を厳選しました。若干の準備不足と練習不足は否めませんが、そういう中、生徒たちは精いっぱい頑張っていました。いろいろな行事や活動などができずに、生徒たちはさぞや残念な思いをしているのでは思っていただけに、運動会が実施できたことで胸をなで下ろし、夢中になって競技に取り組む姿をほほえましく眺めていました。

  

     

運動会開催

 雨天のため1日順延となった運動会ですが、本日予定時刻に始まりました。多くの保護者の皆様に見守られ、応援を背に受けながら、生徒達は持てる力を存分に発揮しているようです。現在(9:45)競技中です。

  

暑さ対策


 毎日暑い日が続いています。例年なら夏休みですから、仕方がないのかもしれません。 
 さて、本校では、暑さ対策として、水筒持参に加えて、よしずを設置し、さらに、屋外活動時の帽子の着用とシャツ出しなどを呼びかけています。
 
  

 一昨日は、2回目のPTA合同委員会が開かれ、主に来る運動会での協力体制に関して専門委員会ごとに話し合いが行われました。運動会当日、よろしくお願いいたします。

2学期スタート!

 2週間という例年より短い夏休みを終え、本日2学期が始まりました。マスクを着用させ、人との間隔を十分にとりながら、体育館で始業式を行いました。各学年代表生徒の意見発表に続き、校長よりメッセージが伝達されました。
 「生徒よ 大志を抱け!」 「2学期 力を合わせ 楽しく元気よく!」
の2つです。さまざまな制約がある中で活動も制限されがちですが、一人一人の努力と仲間との協力で、少しでも充実したときが過ごせることを願っています。
 また、始業式に先立ち、田村養護教諭が産前休暇に入ったため、小松麻里 養護助教諭が新しく着任しましたので、その紹介がありました。

  

 ところで、給食室工事に伴い、しばらくの間外部の委託業者から給食が配送されることになりましたが、本日がその初日でした。

1学期終了


 本日、無事1学期の終業式を迎えました。新型コロナウィルス感染症対策として、長期の休業で始まった異例の年でした。休業が明けてからは、健康安全面で、検温、消毒、マスク着用など、一連の感染症対策を講じる毎日が続きました。また、学習面では、休業中の学習支援を含め、遅れを取り戻すべく尽力いたしました。

 昨日は、PTA合同委員会を開き、今年度の活動計画を立案しました。専門委員の皆様、お世話になります。

社会を明るくする運動


 昨日、保護司の方お二人が来校され、《社会を明るくする運動》の新しい標語掲示板をいただきました。そこには、「『ごめんなさい』言える勇気と許せる心」とあります。自分の非を認めて謝ること、また、誰にでも過ちはあるとそれを許すことの大切さ。学校でも社会でも、誰かと共に生きていくには、欠かせない気持ちであり、言葉であるように思います。

   

3年生、最後の練習試合

 7月11日(土)から日光市内で交流戦が始まりました。サッカー部、ソフトテニス部、野球部、バレーボール部が練習試合や練習会を行いました。どの会場にも競技ができることを楽しんでいる生徒の姿がありました。また、交流戦の日がずれたことで、応援にかけつける同級生の姿もありました。
 3年生は交流戦が終わると引退です。部活動で学んだことを生かし、新たな目標に向かって、新しい努力を始めてほしいと思います。

教育実習生の研究授業

 教育実習生の青木千紗さんが7月16日(木)に保健体育の授業を行いました。1年生女子の「心身の機能の発達と心の健康」という単元の保健の授業です。
 模造紙やカード等、準備をしっかりした授業で、考えやすくて、わかりやすい授業でした。1年生女子も積極的に授業に参加し、よく発言しました。

吉原先生のご講話

 7月15日(水)の放課後、吉原医院の院長、吉原光恵先生を講師としてお招きし、「食物アレルギーの理解と対応」というご講話をしていただきました。命を守るとても大切な研修なので、ここのところ毎年行っています。
 今年度、初めて教員になり、このような研修会に初めて参加した宍戸先生からは次のような感想をいただきました。
「アレルギーは場合によっては、命にかかわることなので今回のご講話はとてもためになりました。また、治療器エピペンを実際に練習として使わせていただいたので、いざというときに今回の経験を活かしたいと思います。」

教育実習生 活躍しています

 7月1日(水)から教育実習生として青木千紗さんが実習に来ています。養護教諭の実習です。
 青木先生は本校の卒業生で中学時代はバレーボール部に所属していました。1年1組の朝の会、給食、帰りの会に出て、研修をしています。授業中は保健室の業務の研修をしたり、授業を参観したりして養護の先生の仕事を勉強しています。
 実習が始まりすでに2週間が過ぎてしまいました。とても熱心な実習生で、放課後は自ら消毒業務を手伝ってくれ、バレーボール部の練習に参加してくれています。 

 なお、実習にあたり、実習2週間前には日光に戻り、毎日検温してくださいというお願いをしました。この実習はきちんと約束を守った上での教育実習です。実習は7月21日(火)まで続きます。残りあとわずかです。1日1日を大切にして、たくさんのことを学んでいってほしいと思います。       校長 見目 宗弘

大会や入試での気持ちの整え方

 勉強の資料をまとめていて、大会や入試のときの気持ちの整え方について書かれたものがありましたので、示しておきます。緊張をほぐすには「息を長く吐くこと」、不安になると気持ちが後ろ向きになってしまうので、気持ちを前向きにもっていけるように考えておくことなどが書かれたものです。      
                        校長 見目 宗弘
本からの引用 緊張への対処法.pdf
本からの引用 入試当日の気持ちのもち方.pdf
本からの引用 入試当日実力を発揮する方法.pdf

中3の受験までの学習

 勉強法は前回までで終了です。途中、専門的になってしまいわかりにくくなってしまったと反省しています。大幅に見直し、わかりやすくコンパクトにして生徒の皆さんが使えるものにしたいと思っています。
 さて、中学3年生の皆さんが受験までどんな勉強をすればよいのか、おおまかな目安を新聞記事からまとめたものを添付しました。今年は夏休みが短く、勉強の仕方が難しい年です。というのは、いつもは夏休みに1,2年生の復習をすることができるのですが、今年のように短い夏休みだとそれも簡単ではありません。だから、時間をうまく使うことが大切です。部活動を引退したら、下校後の時間ができるので、その時間を1,2年の復習にする時間にあててください。毎日うまく使えば、結構、復習できると思います。
                          校長 見目 宗弘
新聞からの引用 中3受験に向けた対応.pdf

苦手な部分はノートを作り、対応する

 できなかった問題をノートにまとめ、教訓を導き出しておくことはその後の財産になります。これは、中学1年生から実施できます。
 中学3年生になると、この勉強方法が威力を発揮します。高校入試の過去の問題、過去問の活用です。中3になると過去問を解いて入試に備えますが、過去問で力試しをするという面とともに過去問を解きながら勉強すると考えると、過去問後のノート作りがとても有効な勉強方法になります。
 次に示すのは過去問を解いて採点した後の行動の説明です。

 
 すると、出題傾向や形式・自分の得意なところと不得意なところなどがわかり、最
 適な対策が立てられます。当然のことですが、問題を解いたあとは徹底的に復習
 し、不得意なところをなくしていきましょう。それに有用なのは参考書です。復習
 は教科書と授業ノートを用いて行うのが基本ですが、時間を有効に使いたいときに
 は、参考書がおすすめです。要点がわかりやすく整理して書かれているので、よく
 理解できます。「苦手箇所ノートにまとめて」開倫塾講師 添田仁実『読売新聞』
 2016年(平成2 8年)9月11日(日)

 
 過去問を解き、苦手なところを自分で知り、勉強し直して苦手を克服します。上記の復習に加え、次のように「まとめノート」を作るとさらに効果的です。添田先生は続けます。

 
 教科書・テキスト・問題集・各種のテストの問題を解いてできなかったところ、つ
 まり苦手な箇所の重要事項や要点などをまとめるのです。これは自分専用の参考書
 になります。常に持ち歩いて繰り返し読み、すべて覚えると、苦手な箇所が解決で
 きます。

 
 「まとめノート」を作るのです。まとめておけば、苦手な部分を後で一挙に復習でき、苦手克服の手立てとなります。気づいた教訓を書き加えておけば、さらに理解が深まり価値のあるノートになります。同様の問題が出題されても、対応できるはずです。
 なお、過去問は中3の2学期から解き始めるのが理想と言われています。それまでに中1、中2の復習ができていない場合には、復習をすませてから、行うのが良いです。11月頃からでも間に合うと言われています。  
                      校長 見目 宗弘

問題を解いた後を大切にする

 「抽象化」ではありませんが、教訓という言葉で、次のテスト等への対応をまとめている文章があります。

 
 そこで、ぼくが大切だと思うのは、与えられた「チャート」や「鉄則」がなくて
 も、そのようなルールを、問題を解くごとに自分で作り出す経験を踏むことだ。こ
 れは、とくにうまく問題が解けなかったときにこそやってほしい。つまり、「な
 ぜ、自分はうまく解けなかったのか」「この問題を解くことによって何がわかった
 のか」という「教訓」を問題から引き出すということである。p.134『勉強法
 が変わる本ー心理学からの アドバイスー』市川伸一著(岩波ジュニア新書)

 
 ここでいう教訓は気づいたことです。他の問題に使うことができるものを導き出しているという点においては、「抽象化」と同じ働きをしています。これは応用問題への対応にもつながります。               校長 見目 宗弘

応用問題には2段構えで対応する

 問題の解き方のパターンを頭に入れておくことで応用問題に対応できることを前回確認しました。たくさんの応用問題を解くことで、解き方のパターンが自然と「抽象化」できるはずです。
 しかし、入試問題には今までやったことのない初めて見る問題が出ることもあります。問題を作成する側としても必死で作問しているので、「今までに見たことがない問題」が出題されても何ら不思議はありません。このような初見の問題にはどのように対応したら良いのでしょうか。
 初めての問題は、授業中、試行錯誤して問題を解いたように地道に解いていくしかありません。

 
 しかし、定石を知っているだけでは、定石にない問題で立ち往生してしまう。そこ
 で、自力解決派の言うように、新しい問題にあたるごとに、どのようにすればいい
 かを考える習慣をつけることが必要になる。ただしこのときも、やみくもに考えれ
 ばいいというわけではなく、
    ・図を書きながら考える
 ・簡単な問題にするにはどうするかを考える
 ・何が求まればいいか、逆向きに考えてみる
 などのかなり一般的な方法をワザとして使えるようになることが上達の早道なので
 ある。pp.125-126『勉強法が変わる本ー心理学からのアドバイスー』市
 川伸一著(岩波ジュニア新書)

 
 初見の問題は、地道に問題を解いていくしかないのです。そのためには、授業中行っているように、答えを出す手がかりを片っ端から見つけていくことが必要です。授業中の試行錯誤の経験がテスト中、生きてきます。「やっていない問題だ」とあきらめず、ボトムアップ的に問題を解いてください。難しいと思える問題も後から解説を聞けば「なんだ、そういう風に考えれば良いのか」と思える問題のはずです。
 まとめます。
 応用問題への対応は2段構えの対応になります。
 最初は、解き方のパターンを適用してトップダウン的に解いていく方法で対応します。この方法が使えない時は、情報を集め、整理し、ボトムアップ的に問題を解いていくことになります。テストの中にはこの初見の問題が1つはあると思ってテストに臨んでください。そして、その問題では「粘り強く考えることができているか、試されている」と思ってください。出題者も「解答者が考えることができているか」を知りたいからです。
 応用問題を数多く解き、解き方のパターンを「抽象化」して頭の中に入れておくこと、時間がかかっても地道に考える習慣をつけておくことが応用問題を解く準備になります。                  
                         校長 見目 宗弘

公開授業・学年懇談会お世話になりました

 7月6日(月)に公開授業と学年懇談会が行われました。公開授業は密を避けるため、1校時から6校時までの1日の授業公開となりました。また、学年懇談会も各学年の開催時間をずらして、体育館で実施しました。ご協力ありがとうございました。
 今年度初めての学年懇談会で、2・3年生の学年のスタッフは保護者の皆様と初めて顔合わせする場となりました。また、学年懇談会ではPTAの役員も決めていただき、ようやくPTA組織が固まりました。どうぞよろしくお願いします。

 放課後は吹奏楽部が保護者の皆様に演奏を披露しました。この短期間によく仕上げたと思います。
 学校が再開して1ヵ月、まだまだ従来の教育活動には戻れませんが、数々の制約がある中でも生徒たちが前向きに取り組む様子をご覧いただけたかと思います。安全対策を講じながら、少しでも教育活動が充実するように努めていきますので、どうぞよろしくお願いします。

 なお、長期の臨時休業があり遅れている教科の進度ですが、教科によって進度が違います。すでに例年の進度に追いついている教科もありますが、まだ追いついていない教科もあります。夏休みが短くなるので、8月中には従来の進度に追いつくことができる予定です。                   
                         校長 見目 宗弘

問題状況のパターンをもつ

 囲碁や将棋で初心者と熟達者は何が違うのかが認知心理学で研究されてきました。その結果、熟達者は「問題状況のパターン」をもっていることが明らかにされました。

 
 その結果明らかにされたのは、まず、熟達者はじつに豊富な「問題状況のパター
 ン」をもっているということだ。たとえば囲碁のある局面を見て、有段者はやすや
 すとそれを覚えて再現できる。しかし、碁石をまったくデタラメに並べた盤面の記
 憶では初心者とあまり変わらなくなってしまうという。つまり、記憶力そのものが
 優れているというより、よくあるパターンを長期記憶として蓄えていて、それを
 使って覚えているのである。また、それぞれのパターンに応じて、どのように打て
 ばいいのかという定石を豊富にもっていることはいうまでもない。p.115『勉強
 法が変わる本ー心理学からのアドバイスー』市川伸一著(岩波ジュニア新書)

 
 この例は囲碁の例ですが、例えば、数学でも同じです。数学の応用問題が解ける人は「問題状況のパターン」をもっている人です。数学の問題の解き方のパターンを覚えていて、使うことができる人が応用問題に対処できる人となります。応用問題の類型化が「抽象化」です。「この問題はあのパターンだな」と考えられることで、トップダウンの情報処理をすることができます。
 難しかった応用問題の対処について光明が差す思いです。
                           校長 見目 宗弘

抽象化する方法

 『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』池田潤著(サンマーク出版)には抽象化する方法が次のように出ています。

 
 では、どうすれば「抽象化」することができるのか。2つの方法があります。一つ
 目は、「なぜ、そうなるのか?」に着目することです。(中略)とにかく問題に向
 かう度に「なぜ?」とつっこみを入れてください。問題を間違えた。なぜ?Aでは
 なく、Bが答えだった。なぜ?書かなければならないことを書けなかった。なぜ?
 場合分けをした。なぜ?とことん、「なぜ」を突き詰めていく。すると、自然に抽
 象化がなされていきます。(中略)もう一つ、「抽象化」してあらゆる問題に対応
 するための方法を紹介します。それは、「同じ問題は二度と出ない」というマイン
 ドセット(考え方)で勉強するということです。(中略)同じ問題が出ると思って
 勉強すると、「記憶量」は増えるかも知れません。しかし、そういう意識で勉強す
 ればするほど、思考することを忘れていきます。思考することを忘れて勉強をして
 いくと、初見の問題や、自分で考えさせられるような問題は解けない頭になってし
 まうのです。(中略)逆に「同じ問題は二度と出ない」と思って勉強をするとどう
 なるか。自然にそこから原理原則を学ぼうとします。pp.62-66

 
 抽象化する方法は、解法を見て、「なぜ」と考え、他に応用できる原理原則を導き出すことです。これができるとトップダウンの情報処理ができ、応用問題が解けるようになります。理屈はこうですが、まだ、なんとなくしかわからないので、次回は囲碁や将棋の例を見て考えていきます。          校長 見目 宗弘

応用問題が解けない理由

 応用問題が解けないという悩みは多くの学生に共通する悩みです。応用問題が解けないことに対して、どのように対処すればよいのでしょうか。
 次の文章を読むと、「法則的知識」「抽象化」というものが鍵となることがわかります。

・応用というのは、「知識が、与えられたり生成されたりしたところを越えて、適用さ
 れ得ること」と定義していいかと思います。エピソードのような個別的知識で項目間
 の隙間を埋めても、それで他の対象に応用できるようになるわけではありません。け
 れども、法則的知識で理解していると、他の対象への応用が容易です。p.94
  『間違いだらけの学習論』西林克彦著(新曜社)
・私自身、成績が上がらずにいたときの大きな悩みが、「同じ問題しか解けない」とい
 うものでした。(中略)何が問題なのか。どう改善すればいいのか。考え続けた結
 果、ある答えが見つかりました。それは、「抽象化」という方法です。私が出した結
 論は、「今目の前にある問題が解けることが大事なのではなく、今目の前にある問題
 から、他の問題にも通用する原理原則を学ぶことが重要なのだ」ということでした。
 つまり、一つの問題から、他の問題にも応用できることを見つけ出せ、ということ。
 一つの具体的な問題を見るのではなく、そこから抽象的な原理原則に目を向ける。
 pp.60-62『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』池田潤著(サンマーク
 出版)
 
 どちらも個々の問題を離れて他に使えるものを導き出すということが共通しています。応用問題が解けない理由は個々の理解にとどまっているためです。
 では、抽象化するにはどうしたら良いのでしょうか。
                           校長 見目 宗弘

目的に応じた暗記

 テストの形式によって暗記の仕方が違ってきます。テストの形式とは、暗記したことをそのまま書くテストと暗記したものを材料として書くテストとの違いです。「再認」と「再生」という違いです。
 
 問題の正誤を判断する「再認」が必要な択一試験に対して、「再生」が求められる記
 述・論述式試験は、目標とする記述レベルも当然違ってきます。  「記憶法67高速で
 ページめくる」『読売新聞』2012年(平成24年)9月8日(土)
 
 求められるものが違うので暗記方法も違います。その方法を伊沢拓司さんは、「ミクロ記憶」「マクロ記憶」と呼び分けています。「再認」のための暗記が「ミクロ暗記」、「再生」のための暗記が「マクロ暗記」と呼んでいます。
 伊沢さんが言う「ミクロ暗記」とは次のものです。

・「ミクロ暗記」が必要なモノは、細部まで覚える必要があるものです。漢字の書き取
 り、英単語の綴り、社会の用語、数学の公式などなど。ここの挙げたものはどれも
 「テキストに書いてあることをそのとおりに再現することに意味があるもの」です。
 英単語も漢字も、細部が違ったら別のものになってしまいます。p.229
・ですから、ミクロ暗記においてまず何より意識すべきは「完璧を目指す」ことです。
 マクロ暗記と異なり、ミクロでは「惜しい」が何の価値も持ちません。正解か不正解
 か、ただそれだけの世界です。まずはこの心がけが大事でしょう。p.230
 『勉強大全』伊沢拓司著(KADOKAWA)
 
 伊沢さんの言う「ミクロ暗記」は完璧をめざす暗記です。
 これに対し大枠を覚える「マクロ暗記」というものがあります。

・マクロという言葉には、「巨大」とか「大きな範囲で見た」という意味があります。
 ゆえにマクロ暗記とは、「大枠を覚えておけばいいもの」に適した暗記法のことで
 す。例えば、数学の証明。(中略)学校や会社で行うプレゼン原稿を覚えるのも、こ
 の暗記タイプに入るでしょうね。p.222
・要するにこれら「マクロ暗記」モノは、どれも「大事な構成要素と、それらのつなが
 り方さえ覚えておけばいい」わけです。p.222
・このような構造ゆえに、マクロ暗記においては「構造」が暗記の対象になります。
 p. 223
・そう、テーマは「再現」です。完全な再現ではありませんが、構造を覚え、試験会場
 で正しく思い出せるような覚え方をしなければなりません。p.223
 
 この「マクロ暗記」には大切なポイントがあります。

・大事になってくるのは、単語など各部にある「ピース」と、それらの「つながり」で
 す。それらの配置や順序がキモになるわけですから、すっ飛ばすことなく少しずつ覚
 えていく必要があります。p.224
・なので、覚えるときのポイントは「少しずつ頭に入れていく」「構造を再現できるよ
 うに反復する」の2つです。p.224
・僕がやっていたのは、まず「ピース」がいくつあっかのかを覚える、という方法でし
 た。p.226
 
 記述式試験にはこの「マクロ暗記」が必要になります。「マクロ暗記」は応用問題を解くための暗記法だと思います。           校長 見目 宗弘

じゃがいも販売について

 7月3日(金)、学校支援ボランティア様の渡辺様、吉原さんのご指導のもと、ステップ学級が育て、収穫したじゃがいもの袋詰め作業を行いました。
 袋に詰めたじゃがいもは、7月6日の月曜日、12:50~体育館アリーナ後方にて、販売します。1袋100円です。収益金は手をつなぐ親の会の収入として秋野菜作りなどに使わせていただきます。おいしそうなじゃがいもです。お得です。ぜひ、ご購入ください。なお、レジ袋はありませんので、マイバッグやエコバッグ等をご持参ください。

絵で覚える実践例

 絵で覚える実践例を紹介します。


・遊び感覚で作った図面が試験のときにパッと浮かぶ 吉村康(仮名)・文科3類1
 年
 イメージ効果を利用して記憶する。
 図を描いてそこにポイントを書き込み、覚えるようにしていたという。
 「例えば、歴史の教科なら、大きめの紙にまず地図を描き、各国それぞれの場所 
 に、同じ時期に起きたことを書き込むようにしていました。すると、ある国の事柄
 が試験に出たとき、この図が浮かぶとともに、ほかの国で起こった事柄も連鎖的に
 思い出すことができる。ビジュアルが伴っていると、その図に関連して頭の中から
 引き出しやすいんですね。文章だけの暗記では、そうはいかないでしょう。」p.
 37『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大家庭教師の会著
 (PHP)

 
 右脳の側頭葉を活用した実践例です。    校長 見目 宗弘

海馬をだます(4)知識記憶を印象的にする

 知識記憶を経験記憶にする方法を見てきましたが、知識記憶のまま記憶する方法もあります。それは、語呂合わせや映像化してインパクトを残して覚える方法です。覚えたことを保存しておく側頭葉は右脳と左脳の両方にありますが、右脳の側頭葉を使うのです。右脳は容量が大きいので、記憶が保持されやすくなります。

 
 文字よりも映像の方が覚えやすいのも、脳の特性です。文字情報が左脳で記憶され
 るのに対し、映像情報は右脳で記憶されます。「一説によると、右脳の記憶できる
 容量は、左脳の100万倍。データ量に置き換えれば、1テラ・バイトと1メガ・
 バイトの違いで圧倒的な差です」。 「記憶法89頭の中を『劇場化』」『読売新
 聞』2013年(平成25年)2月23日(土)

 
 この新聞記事では「頭の中に覚えやすい映像を作り、その映像を記憶してしまうのです。」とあり、覚えることを絵などにして右脳で覚える方法が示されています。
 知識記憶は思い出すときに手がかりがなく、思い出しにくいという欠点がありますが、このように絵として覚えていれば、思い出しやすいと思います。 
                         校長 見目 宗弘

海馬をだます(3)場所を変える

 覚える場所を工夫して、経験記憶を定着させるという方法もあります。公園で覚える実践例です。

 
 栗田さんは中学生に、平家物語の冒頭を公園を歩きながら暗記させたことがありま
 す。運動感覚を使って場所記憶をいかし、個々の文章を定着させると、公園を思い
 出すだけで自然と文章を想起できるようになったそうです。 「記憶法22散歩風景と
 結びつけ」『読売新聞』2011年(平成23年)9月9日(金)

 
 引用に出てくる栗田さんとは栗田昌裕さんという大学教授です。栗田先生の方法は覚える場所を変える方法で、「三角記憶法」と命名した記憶法が特徴的です。3カ所で覚える方法です。

 
 例えば、覚えたい知識が書いてある参考書をある日、場所Aで勉強する(第1エピソ 
 ード)。別の日、場所Bでインターネットを使い、ホームページで知識を学び直す
 (第2エピソード)。さらに別の日に、場所Cで知識を友人に語って聞かせる(第3
 エピソード)。「場所・時間・見る角度を変え、意図的に3つの時空体験を作るの
 が三角記憶法。こうすれば根がしっかり張った知識を『エピソード記憶+意味記
 憶』の連合体として形成できるようになるのです」。栗田さんが三角形の図をなぞ
 りながら、解説してくれました。 「記憶法21エピソード3つ作る」『読売新聞』
 2011年(平成23年)9月2日(金)

 
 引用に出てくるエピソート記憶とは学習の時と場所を特定できる記憶です。引用の意味記憶とはいつどこで学習したかを特定できない知識や事象に関する記憶です。場所を変えて覚えることで、記憶が鮮明になり覚えやすくなります。この理論に基づき、家の中でも覚える場所を変えてみると覚えたものを思い出しやすくなると思います。                   
                        校長 見目 宗弘

中学生にあった暗記法

 今まで見てきたように知識記憶より経験記憶の方が記憶に残ります。経験記憶でも、ただ体を使うよりは理解を伴う活動を大切にする必要があります。

 
 高校生になると、丸暗記よりむしろ理論だった経験記憶がよく発達してきます。そ
 れは、ものごとをよく理解してその理屈を覚えるという能力です。当然、勉強方法
 もそうした作戦に変えていく必要があります。丸暗記はいけません。高校生にもな
 れば、もはや丸暗記は効果的な学習法とは言えません。pp.157-158『最
 新脳科学が教える高校生の勉強法』池谷裕二著(ナガセ)

 
 中学生は丸暗記から理解した上での暗記に切り替えるときです。暗記しながら自己説明したり、暗記しててもわからないところを調べたりということが定着を確かなものにします。                    
                           校長 見目 宗弘

海馬をだます(2)体を使う実践例

 体を使う、暗記の事例を紹介します。

 
 五感をフル活用するのが決め手 本橋寛生(仮名)・文科1類1年
 「暗記ものは音読するのが一番」と主張するのが、本橋寛生(仮名)さん。
・「目で読んだだけでは、絶対に覚えられないじゃない。目からだけでなく、耳、口
 を使って頭に入れないと。実際、僕の今までの経験から考えても、繰り返し何度も
 音に出す方が、記憶の定着率は断トツに上がります。」
 と語る本橋さんは、次のようなやり方で音読し、記憶ものをこなしていたという。
 「まず初めは、ざっと音読します。もちろん家で行うのですが、声の大きさはなる
 べく大きめに。普通のしゃべり声ぐらいまでは、出すようにした方がいい。そして
 2回目は、目をつぶって音読。今度は、一度その部分を離れて違うページに行き、
 その後再び先ほどの箇所に戻り、目をつぶってまた音読。目をつぶっていても、口
 からすらすら出てくるようになったら合格ですね。出てこないようなら、何度でも
 繰り返す。暗記に関していうなら、反復することが何より重要ですから。」pp.
 12-13
・「座って読むだけでは、気が滅入っちゃいますから。机の前という固定された状況
 にずっといることに、飽きてしまうんですよ。なので、音読は歩き回っていた。こ
 れなら動きが伴うので、五感をフルに使っている感じがしてよかった。当時は部屋
 の中をグルグル回りながら、暗記していましたね。」p.13『東大生が選んだ勉
 強法「私だけのや り方」を教えます』東大家庭教師の会著(PHP)

 
 本当に体を使っているのがわかる記述です。    校長 見目 宗弘

海馬をだます(2)体を使うのが良い理由

  暗記において、体を使うとなぜ効果的なのでしょうか。理由は、体を使うことで、知識記憶が経験記憶として側頭葉に保存されるからです。少し難しい話になりますが説明します。ここでいう知識記憶、経験記憶とは、次のものです。

 
 自由に思い出せる記憶、つまり自分の過去の経験が絡んだ記憶のことを「経験記
 憶」と呼びます。一方、何らかのきっかけがないとうまく思い出せない知識や情報
 のような記憶のことを「知識記憶」と言います。p.132『最新脳科学が教える
 高校生の勉強法』池谷裕二著(ナガセ)

 
 知識記憶とは人や物の名前などの記憶で、経験記憶とは自分の経験したことの記憶です。知識記憶には次の説明があります。

 
 皆さんはきっと「ど忘れ」をしたことがあるでしょう。「う~ん、何だっけ?ここ
 まで出かかってるんだけどなあ…」などというのは、ほとんどの場合、人や物の
 「名前」であるはずです。これは知識記憶です。先ほどの実験でも分かったよう
 に、知識記憶は自在に思い出すことはできません。思い出すためには、必ずきっか
 けが必要です。きっかけが弱いと思い出せなくて当然です。ど忘れというのは、ボ
 ケの始まりでもなんでもありません。単に、知識記憶だから思い出しにくかっただ
 けのことです。p.132

 
 知識記憶は忘れやすい記憶です。でも、体全体を使うことで、知識記憶が簡単に経験記憶となります。

 
 もっとも手軽な経験記憶の作り方は、覚えたい情報を友達や家族に説明してみるこ
 とです。そうずれば、「あのとき説明したぞ」「こんな図を描きながら教えたとこ
 ろだ」といった具合に経験記憶になります。間違いなく、それがきっかけとなっ
 て、あとで簡単 に思い出すことが出来るようになります。p.142

 
 経験記憶は長い間覚えていられる記憶です。長期の保存となるのです。
 また、別の理由で体を使うと良い理由がもう1つあります。

 
 文字を眺めて、この漢字はこれこれこう書くと覚えているときは、認識性記憶(頭
 の記憶)といって、左脳を使って覚えます。ところが、手で書いて覚えるのは、運
 動性記憶(体の記憶)であって、小脳で覚えるのです。p.211『すごい「勉強
 法」』高島徹治著(三笠書房)

 
 書いて覚えることで小脳が覚えてくれるのです。小脳にも保存の機能があるので、忘れにくくなります。            校長 見目 宗弘

ジャガイモ掘り

 昨日、ステップ学級の生徒が、学校支援ボランティアの皆様の御協力により栽培されていたジャガイモを収穫しました。あいにくの天気でしたが、事前に準備をしてくださったのと、当日もお手伝いいただいたおかげで、短時間のうちに作業を終えることができました。収穫の喜びや、食べ物及びそれを作ってくださる方への感謝など、活動を通じていろいろなことを感じ取れるものと思います。

  

海馬をだます(2)「見る」「聞く」「書く」「話す」をする

 自分がまとめる際、「見る」「聞く」「書く」「話す」という4つの活動を行うと効果的です。

 学習における基本とは、「見る」「聞く」「書く」「話す」という、この4つで
 す。これをおいてほかにはありません。裏を返せば、この4つの行動を十分活用し
 て勉強すると、学習効果は飛躍的に高まります。大切なことは、五感を活用して学
 習すること。そうすれば、脳により強く情報が記憶されるのです。英単語を覚える
 ときに、机に向かって漠然と単語帳を読んでいるだけではあまり頭に入りません
 が、読んだ単語を「書き」、さらにそれを「音読」し、自分の耳で「聞く」こと
 で、単語がより強く記憶されます。学校や塾の授業では「見る」「聞く」という行
 動を主に行います。ここでもやはり、ぼうっと顔を上げているだけでなく、ペンを
 動かして要点をメモしていくことが効果的です。(中略)さらに記憶の定着に効果
 的なのは、「話す」ということです。授業で聞いた内容を人に説明することで、覚
 えた知識が脳にはっきりと刻まれていきます。頭で分かったつもりになっていて
 も、相手が理解できるように説明するには、情報を自分なりに整理しておかねばな
 りません。話しているうちに、自分自身の理解が正確かどうか、はっきりしてきま
 す。話しているうちに内容が整理され、確実な理解として記憶に留まるのです。ま
 た、口で説明するという「経験」を通じて、より強固な記憶にもなります。pp.
 124-126『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』森山真有著
 (PHP文庫)

 説明は他人に対してだけではありません。「自己説明」というものもあります。

 
 ところで「説明」というと、誰かが誰かに向かって説明する様子を思い浮かべるこ
 とでしょう。実は心理学ではもう少し間口を広げて、自分に向かって説明する、と
 いうのも説明の1つとして捉えて、「自己説明」などと呼んでいます。例えば、教
 科書を読むときに、読みながら気づいたことや考えたこと、あるいはちょっと頭に
 浮かんだことを、声に出してみるのです。そうすると、単に教科書を読むだけの勉
 強に比べて、学習が深まることが知られています。(中略)自分で勉強するとき
 に、ノートをまとめるというのも、広い意味では「自己説明」の1つと考えてよい
 でしょう。pp.139-140『学習支援のツボ 認知心理学者が教室で考えた
 こと』佐藤浩一著(北大路書房) 
 
 「見る」「聞く」「書く」「話す」等、実際に体をこれだけ使えば、記憶に残ると実感できると思います。 校長 見目 宗弘

海馬をだます(2)自分がかかわり、大切なこととする

 海馬をだますには、大切なことを自分がまとめることです。自分がまとめることによって、「これは必要なこと」と海馬が認識してくれ、長期記憶として保存されます。「生成効果」と言います。


・同じ事柄でも、人から教わるよりも自分で考えたり思いついたときの方が、記憶に
 よく残っているという経験はないでしょうか。このことを心理学では「生成効果」
 と呼ばれています。(中略)自分でノートを整理し直したり、自分の言葉で説明し
 直したりするという勉強方法は、まさに生成効果につながるわけです。pp.24
 -25
・また定期テストが近づくと、先生がまとめプリントを作成してくれることがありま
 す。生成効果の観点で考えると、こうした親切は逆効果です。自分でまとめる、自
 分で説明する、自分で生成する機会を逃すことになってしまうからです。p.26
 『学習支援のツボ 認知心理学者が教室で考えたこと』佐藤浩一著(北大路書房)

 
 人がまとめてしまっては「生成効果」は生まれないのですね。 校長 見目宗弘

繰り返し学習のコツ2 時間をおいて繰り返す

 海馬は情報を選別して、いらないものをどんどん消去するため、私たちは覚えたことをどんどん忘れていきます。海馬の働きはみんな平等です。

 
 しかし、実際にテストをしてみると、単語を忘れる速度は人によって違わないので
 す。p.39『最新脳科学が教える高校生の勉強法』池谷裕二著(ナガセ)
 
 また、海馬には次の共通点もあります。

 
 2回目は忘れにくくなっているのです。(中略)つまり記憶を繰り返すと、あたか
 も記憶力がアップしたかのように見えるのです。p.50
  
 さらにもう1つ共通点があります。

 
 つまり、潜在的な記憶の保存期間は1ヵ月なのです。1ヵ月以内に復習しなけれ
 ば、さすがに潜在的な無意識の記憶も無効になってしまいます。復習はいつやって
 も効果があるというわけではありません。最低でも1ヵ月以内に復習するようにし
 ましょう。p.53

 
 忘れるスピードはみんな同じ。また、2回目は忘れにくくなる。そして、1ヵ月たつと忘れてしまう。これらの共通点を活かして、繰り返し学習をしなくてはなりません。池谷先生が示している理想の復習プランは次のものです。

 
 海馬の性質を考えると、もっとも効果的な復習のプランは、
 学習した翌日に、1回目
 その1週間後に、2回目
 2回目の復習から2週間後に、3回目
 3回目のの復習から1ヵ月後に、4回目
 というように、全部で4回の復習を少しずつ間隔をあけながら、2ヵ月かけて行う
 ことです。pp.54-55

 
 このプランは実践に移すには難しいですが、時間をおいて繰り返す暗記が良いことがわかります。        校長 見目 宗弘

繰り返し学習のコツ1 少量を繰り返す

 繰り返し覚えるにもコツがあります。それは少量を繰り返すということです。ポイントは2つあり、一度に覚える量を減らすこととスピードをつけて覚えることです。

 
 一度で正確に記憶して楽をするのではなく、楽にたくさん繰り返して記憶する。宇
 都出雅巳さん(45)が提唱する「1分スピード記憶勉強法」が最も重視している
 のは、この点です。最初のポイントは、一度に覚える量を減らすこと。覚える量が
 少なくなれば、より気軽に取り組め、繰り返しが楽になる。「1分」には、そうし
 た思いが込められているそうです。(中略)楽に繰り返すには、スピードも重要で
 す。最初から細かいところまで覚えようとしてはだめ。ざっくりと大雑把に記憶す
 ることを心がけてください。「粗い記憶の質が、繰り返しにより、はっきりしたも
 のになっていくイメージです」と宇都出さん。たくさんのものを覚えるときは、大
 きな分類から覚えるのが鉄則です。「記憶法58少量を繰り返す」『読売新聞』
 2012年(平成24年)6月16日(土)

 
 少なく覚えるから回数をこなすことができます。また、徐々に細かなところに入っていくので、はっきりと覚えることができます。参考にしたいです。 
                           校長 見目 宗弘

フェイスシールド着用

 昨日の3年生の国語の授業で、以前渡辺産業様よりいただいたフェイスシールドを着用しました。話し合い活動中飛沫が飛び散らないようにとの配慮で使用しましたが、慣れないためか、戸惑いも見られました。今後も、生徒の健康安全のため有効に活用できればと思っています。

 暗記のポイント3 海馬をダマす(1)繰り返し覚える

 海馬の特性を活かす勉強法とは全く反対の勉強法があります。それは海馬に「必要なもの」として仕分けしてもらうために、海馬をダマす方法です。

 
 では、学校で教わる知識を、海馬に「必要なもの」として仕分けしてもらうために
 は、一体どうしたらよいのでしょうか。(中略)その方法はたった一つしかありま
 せん。海馬をダマすしかないのです。p.30『最新脳科学が教える高校生の勉強
 法』池谷裕二著(ナガセ)

 
 ダマす方法は繰り返すことです。池谷先生は言います。

 
 海馬に必要だと認めてもらうには、できるだけ情熱を込めて、ひたすら誠実に何度
 も何度も繰り返し繰り返し、情熱を贈り続けるしかないのです。そうすると海馬
 は、「そんなにしつこくやって来るのだから必要な情報に違いない」と勘違いし
 て、ついに大脳皮質にそれを送り込むのです。古来「学習とは何か」に対して、
 「学習とは繰り返しである」と言われてきたのは、脳科学の立場からもまったくそ
 の通りだと言えます。p.31

 
 今まで、漢字や計算練習など繰り返すことで覚えられたのは、海馬が漢字や計算を「必要なもの」と認めてくれたからです。池谷先生は言います。

 
 つまり成績がよい人とは、忘れても忘れてもめげずに、海馬に繰り返し繰り返し情
 報を送り続けている努力家にほかならないのです。p.31

 
 努力の中身は海馬に認めてもらうということだったのです。 校長 見目 宗弘            

暗記のポイント2 海馬を活かす 寝る前の暗記学習

 海馬は大切な情報を選別するので、覚える量を減らすというのが、前回の方法でした。もう1つ、海馬の特性を活かした暗記方法は寝る前に暗記学習をするということです。これは海馬が寝ている間に情報を整理してくれているという特性を活かした暗記方法です。

 
 『記憶力を強くする』などの著書がある脳研究者の池谷裕二・東大准教授による
 と、脳は眠っている間に、日中経験したことを再生していることが分かっているそ
 うです。睡眠は脳の情報を整え、記憶を強化するために必須な過程で、特に再生し
 ているのは寝る直前の時間帯の情報。そう聞くと、寝る前に勉強した方が効果的な
 気がします。(中略)テスト前の緊張で「寝なければ」と気ばかり焦り、眠れない
 経験をした人もいるでしょう。でも、電気を消し、布団に入って寝るふりをするだ
 けでも、脳内の情報整理には効果があるそうです。「ただし、ラジオを聞いたり、
 本を読んだりしたらだめ。睡眠の効用は期待できません」。池谷准教授は、そう話
 します。「記憶法①眠ってアマタを整理」『読売新聞』2011年(平成23年)
 4月1日(金)

 
 塾講師の安河内哲也先生もこのことを実証するように勉強の体験を示しています。

 
 暗記の方法は様々ありますが、私は受験生のとき、山川出版社の世界史の教科書を
 自分で朗読したテープを作り、それを寝る前に枕元で再生していました。朝起きて
 すぎに、またその部分を確認すると、ちょっとした時間ですが、かなり記憶を定着
 させることができます。p.132『今日から始める「やる気」勉強法』
 
 寝る前を暗記のためにうまく活用している人は多いようです。
 
・寝る前にただ聞くだけで覚える⁉ 藤田智泰(仮名)・文科2類1年
 眠りながら記憶する方法
 英語の勉強において、多くの東大生が口をそろえるのは「英語は英文をそのまま理
 解し、覚えていくべき」ということ。英単語を細々と調べ上げ、英文を文法に沿っ
 て解体して和訳し、1つひとつの単語を記憶して……などというやり方は、NGとい
 うわけだ。実際、英語の長文をスラスラと読み解くには、英文全体を見るだけで意
 味がわかるようになっている必要がある。そのためにも「英文のまま理解し、覚え
 る」ことが重要というわけだ。p.32
・「重要英文は、寝る直前に耳で聞いて覚えていました。眠くなったら、英文リスニ
 ングの用意をし、聞きながら寝るというのを日課にしていた。眠いながらも、毎日
 毎日何度も聞いていれば、自然と頭に入ってくるものですよ」。p.33
・「就寝前に聞く英文は、完全に理解しているものを選んでいました。これなら、新
 たに頭を使う必要がない。既に理解している重要英文20コぐらいを、毎日30分
 かけて聞く。同じ英文を2ヵ月ぐらいかけて、毎日繰り返し耳に入れるわけです。
 すると、英文全体の音の流れが覚えられる。"記憶しなくては"などと意識せず、本当
 にただ聞いているだけという状態でいるのがコツです。まあ、もともと眠いなかで
 リスニングをしてい るのですから、ただ聞いているだけしかできませんけどね
 (笑)」。p.33『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大
 家庭教師の会著(PHP)

 
 海馬の働きをうまく利用することで結構覚えられるようです。 校長 見目 宗弘


暗記のポイント1 暗記する量を減らすこと

 海馬が側頭葉に情報を保存することをなかなか認めてくれない性質をふまえると、暗記のポイントは「覚える情報を減らすこと」です。何でも覚えられると過信してしまうと覚えるのに苦労するからです。
 
 4年前から記憶術のセミナーを開く宮口さんは、勉強が苦手な子ほど何でも覚えよう
 とすることに気づきました。「それではマラソンを全速力で走ろうとするようなもの
 で、受験は乗り切れない」。宮口さんは断言した後、思いがけない言葉を口にしまし
 た。「覚え過ぎてはいけないのです」(中略)覚え過ぎないを実践するには参考書を
 吟味し、覚えなくてはいけないものと、覚えなくていいものとに分ける必要がある。
 そのためには、過去の出題問題の研究がかかせない。  「記憶法⑭ 最低限の項目の
 み」『読売新聞』2011年(平成23年)7月8日(金)
 
 引用文には、入試に向けて過去の入試問題を分析し覚えることをしぼりこむとあります。これは校内のテストでも同じです。
 
 椋木さんによると、重要な情報をすぐ忘れてしまう人は、情報の選択を脳の自動処
 理に丸投げしている場合が多い。記憶力を高めるには、意識的に情報の選択を行わな
 ければならず、椋木さんはこの作業を、「脳に記憶フィルターをセットする」と呼ん
 でいます。ポイントは、どうやって記憶するかよりも、どう整理すれば記憶しやすい
 かと発想を転換すること。整理の基本は、いらない情報を捨てること。(中略)「情
 報が必要か不要かを『分ける』ことは『分かる』につながり、『解る』になる」と椋
 木さん。 「記憶法71必要な情報か分別」『読売新聞』2012年(平成24年)
 10月6日(土)
 
 上の引用もこの引用も、海馬が行っている情報の選別を自分自身で行うというところに特徴があります。海馬の特性に即した暗記法です。   校長 見目 宗弘

記憶の仕組み

 生徒の皆さんは、繰り返し練習して覚えることはもう何度も行っていることと思います。しかし、記憶の仕組みを理解して実行している中学生は少ないのではないでしょうか。仕組みを知れば、効果的な暗記をすることができます。そこで記憶の仕組みについておさえていきます。
 記憶は脳の大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)、大脳皮質(だいのうひしつ)という部分がかかわります。大脳辺縁系の中で特に記憶に関わるのは海馬です。海馬は睡眠時間が長いと大きくなり、短いと小さいです。大きさが生活習慣に影響されます。大脳皮質には前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉、左脳、右脳があり、この中で特に記憶に関わるのは側頭葉です。記憶は海馬→側頭葉という順に記憶されます。 
 
 私たちが文字を見たり、音を聞いたりと、その情報を最初に処理する場が海馬であ
 って、海馬は脳の番人のようなものです。たとえば、ある単語を見たとき、海馬は
 その際、「知っているか、いないか」「忘れているか、いないか」を判断します。
 では、どうやって判断するかというと、まず海馬は前頭葉に問い合わせを行いま
 す。前頭葉は記憶の司令塔のようなもので、保存場所である側頭葉の中を調べま
 す。その単語が側頭葉に保存されていないものならば、その単語は記憶されていな
 いものですから、前頭葉は側頭葉にとりあえずは保存するように指示します。海馬
 自体も記憶を保存できるのですが、それは一時的なもので、長く記憶できる保存先
 が側頭葉なのです。いわば、側頭葉は「記憶の倉庫」と言える存在です。
 ・海馬……一時的な保存場所
 ・側頭葉……ある程度長期的な保存場所
 脳が最初に記憶事項を取り扱うのは脳の番人である海馬ですが、学習に必要なのは
 いかに側頭葉に記憶されるか、なのです。pp.57-58
 『奇跡の記憶術 脳を活かす奇跡の「メタ記憶」勉強法』出口汪著(フォレスト出
 版)
 
 海馬に保存された記憶は短期記憶と言われ、側頭葉に保存された記憶は長期記憶と言われます。側頭葉が長期記憶の保存場所で、テストに必要な記憶は側頭葉に保存されなければなりません。ポイントとなるのは脳の番人の海馬です。しかし、その海馬は記憶する情報の選別の基準が厳しいのです。
 
 通行許可の判定基準はなんと、「生きていくために不可欠かどうか」なのです。 
 (中略)「英単語のひとつやふたつ覚えなくても命に別状はない」といって通して
 くれません。短期記憶から長期記憶になることが許されないのです。pp.25-
 26『最新脳科学が教える高校生の勉強法』池谷裕二著(ナガセ)
 
 海馬に認めてもらえるのは「生きていくために不可欠なもの」だけです。暗記をしてもなかなか覚えられないのはそのためです。海馬はいじわるかというとそうではなく、実は海馬にも事情があります。側頭葉に記憶できる量が限られているため、記憶する情報を制限しなければならないのです。だから、海馬は不必要なものをどんどん忘れていきます。                                     校長 見目 宗弘

理解の当面のゴールはトップダウンの情報処理である(3)

 残念ながら教科書には「リード文」がありません。それは、最初に答えがわかってしまうとつまらないから、1つ1つ発見していけるように、教科書が構成されているためです。
 リード文は自分で作るしかないです。自分で作る場合、最初には作れません。内容を知らないからです。単元の区切りや終わりにノートにまとめていくことになります。まとめながら、学習内容を整理するので、理解が深まります。中学1年生や2年生で作ったノートはとっておき、入試の勉強のときに使いましょう。まとめを読むことで、自分で作ったリード文を読むことになり、一気に学習内容を思い出すことができます。まとめの文がリード文としての役目を果たします。
 参考として、新聞に載っていたまとめについての記述を示します。

 
 社会 教科書や単元や内容の区切りのよいところで、基礎知識を定着させるための
 「まとめノート」を作りましょう。まとめノートを作ると、細かな知識が整理さ
 れ、全体像や流れがつかみやすくなります。さらに、ノート作りは、要点をつかん
 で端的にまとめる練習になり、記述問題に対応できる力を養うことにもつながりま
 す。 開倫塾 渡辺裕子「社会は『音読とノート作り』」『読売新聞』2014年
 (平成26年)5月9日(金)

 
 理科 これらを全て正解するには、語句と公式に加えて、実験や観察の方法・手
 順、経過と変化の理由、注意点とその理由、結果とその考察、グラフや表の読み取
 りを総合的に理解し身に付けていることが不可欠です。そこで実行してほしいのが
 次の学習です。
 ①教科書の内容を、実験や観察、グラフ、表、写真などを含めて隅から隅まで丁寧
 に何度も読む。②実験器具の使い方、実験方法、観察の手順、結果をノートにまと
 める。頭にイメージが残りやすいように、図やグラフも手描きする。
 開倫塾 徳田進「理科 総合的な理解必要」『読売新聞』2015年(平成27
 年)5月22日(金)

 
 これらのノートがあれば、トップダウンの情報処理ができます。  校長 見目宗弘

 理解の当面のゴールはトップダウンの情報処理である(2)

 先の文章は洗濯について説明した文章です。洗濯とわかるとどうでしょう。文章が一気に理解できます。これがトップダウンの情報処理です。学習内容の理解では、このトップダウンの情報処理を目指します。
 それには、ポイントがあります。大まかな理解から細部に入っていくのです。

 
 何よりも重要なことは、まず「勉強内容の全体像をつかむ」こと。p.3
 全体像を大まかに把握し、部分の学習に入っていく。それが「すごい勉強法」の基
 本です。p.24 『すごい「勉強法」』高島徹治著(三笠書房)

 
 これはちょうど新聞の「リード文」を読むようなものです。新聞には「見出し」「リード文」「本文」があります。「リード文」は「本文」を要約したものです。写真の赤で囲んだ部分です。


 「本文」を読む前に「リード文」を読むと、だいたいのことが理解できます。そして、だいたいを理解した上で「本文」を読むとすでにあらましを知っているから「本文」の内容が入ってきます。
 大まかに理解した上で、細かく理解していくことでトップダウン的に情報処理をすることができます。                校長 見目 宗弘

 理解の当面のゴールはトップダウンの情報処理である(1)

 2つの情報処理があります。ボトムアップ処理とトップダウン処理です。次の説明の通りです。

 
 私たちが何かを認識したり判断を下したりするときには、脳の中で2方向の情報処
 理が行われます。1つは物事を詳細に丁寧に分析する方法で、これをボトムアップ
 処理と言います。もう1つは自分の知識や経験などから判断を下す方法で、トップ
 ダウン処理と言います。知識はトップダウン的に効率よく情報を処理するのに不可
 欠なのです。いくつか例を挙げましょう。例えば、手書きの汚い文字が読めるの
 も、「ほら、あれが、あれして」といった情報に乏しい発言が理解できるのも、全
 部、トップダウン処理のおかげです。欠けている部分を知識や経験で補って,認識
 しているわけです。pp.5-6『学習支援のツボ 認知心理学者が教室で考えた
 こと』佐藤浩一著(北大路書房)

 
 この説明だけでは実感できないので、次の文章を読んでほしいと思います。認知心理学の実験でよく用いられる文章です。何について書かれているかわかりますか。

 
 その手順は全く簡単である。まず、ものをいくつかのグループに分ける。もちろ
 ん、ひとまとめでもよいが、それは、やらなければならないものの量にもよる。も
 し設備がないためどこかよそにいかなければならない場合には、それが次の段階と
 なる。そうでない場合は、準備はかなりよく整ったことになる。重要なことは、や
 りすぎないことである。すなわち、一度に多くやりすぎるよりも、少なすぎる方が
 よい。この重要性は、すぐにはわからないかもしれないが、面倒なことは、すぐに
 起こりやすいのだ。その上、失敗は高価なものにつく。最初は、その全体の手順は
 複雑に思えるかもしれない。しかし、すぐにそれは生活のほんの一面になるであろ
 う。近い将来、この仕事の必要性がなくなるとは予想しにくいが、誰もなんとも言
 えない。その手順が全て終わったあとで、ものを再びいくつかのグループに分けて
 整理する。次にそれらは適当な場所にしまわれる。結局、それらは再び使用され、
 その全体のサイクルは繰り返されることになる。とにかくそれは生活の一部であ
 る。(Bransford & Jhonson,1973)

 
 私は最初この文章を読んだとき「一文一文の意味はわかるけれども、全体で何を言っているかわからない」という状態でした。これがボトムアップの情報処理です。ボトムアップの情報処理では、1つ1つ積み上げても全体として何のことかがわからないという状態が生じてしまいます。数学の応用問題を解いているときや国語の現代文を読んでいるときの状態に近いと思います。「わかるんだけれどもわからない」という状態です。                    
                        校長 見目 宗弘

アウトプットで理解が確かになる

 理解はインプットですが、アウトプット、つまり、表現してみると理解しているかどうかがわかります。

 
 自分がわかっているのか、いないのか、どうももやもやしているというときに、説
 明できるかどうかでチェックしてみるというのはすごく大切な勉強法だ。pp.74
 -75『勉強法が変わる本ー心理学からのアドバイス-』市川伸一著(岩波ジュニ
 ア新書)

 
 相手がいる場合は、相手に説明し、一人の場合は、ノートに書き出してみると良いです。また、アウトプットは知識の定着にもなります。

 
 かいつまんで話す練習をしているうちに、知識も定着してくる。ところが、こうし
 た練習をくりかえし行っている授業はほとんどない。授業の多くは教師が話すだけ
 なので、知識が定着するのが、教師になってしまっている。(中略)はじめは、教
 師の答えを復唱するのでもよいから、口に出して論理的に説明してみる練習が必要
 である。pp.44-45 『子どもに伝えたい〈三つのつの力〉』斎藤孝著(NH
 Kブックス)

 
 かいつまんで話したりノートに説明を書き出したり、これらは見落としがちな勉強法ですが、理解を深め、知識を定着させる勉強法です。   校長 見目 宗弘

 理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される(3)

 4 理解は感情に左右される
 理解が感情に左右されるのは、A10神経群と言われる脳の扁桃核(へんとうかく)と即坐核(そくざかく)が「おもしろい」、「おもしろくない」、「好き」、「嫌い」を判断するからです。これらがうまく機能すれば、好奇心が高まります。しかし、嫌いと思ってしまうと、「自己保存の本能」が働き、避けてしまうことになります。A10神経群は「自己保存の本能」を司るため、両刃の剣なのです。話を受け流すようにもなってしまいます。

 人間には自分を守りたいという自己保存の本能があります。しょっちゅう叱られて
 いると、脳は苦しくなって、脳自身を守るために叱っている人の話を受け流すよう
 になります。その状態が慢性化すると、だんだん人の話を真剣に聞かない脳ができ
 あがっていきます。p.73『〈勝負脳〉の鍛え方』林成之著(講談社現代新書)

 
 いつも叱ってばかりいる人が説明者だと、上記のように説明は全然入っていきません。説明者によって理解が左右されてしまうのです。
 また、数学の問題を見て、「難しい。」と思ってしまったときも、同じように「自己保存の本能」が働いてしまいます。


 「こんなむずかしいものはわからない。嫌いだ」と最初に否定的な「気持ち」が生
 まれると、自己保存の本能が働いて、それを避けたり、いいわけをして自分を守る
 行動をとります。p.80 『素質と思考の「脳科学」で子どもは伸びる』林成之
 著(教育開発研究所)

 
 嫌いなものから自分を守るために、問題文を粘り強く読み込むことができないのです。
 ただ、同じ問題を見て、粘り強く読める人もいるわけで、その違いはどこからくるのでしょうか。脳科学者の林先生は著書『素質と思考の「脳科学」で子どもは伸びる』(教育開発研究所)の中で、次のように説明しています。

 
 ここで、本来であれば、「正しい判断をする基盤となる統一・一貫性の本能の環境
 がおかしい」と前頭葉が判断し、「これはまずい……もっと勉強しよう」という
 「気持ち」が生まれてくるのです。ところが、少しくらい間違っても「まぁ、いい
 か」「だいたいできた」で終わらせてしまう学習をしていると、統一・一貫性の本
 能がゆるんだ状態となって、少しくらい間違っても気がつかないようになってしま
 います。p.80
 
 脳の前頭葉は「統一・一貫性の本能」を司り、筋が通っていて一貫した正しい判断を下す働きをしています。ふだんの学習で前頭葉を鍛えていないと、「難しい」という最初の印象を受けて、前頭葉が「この問題は難しい問題だ」と断定してしまうのです。しっかり読み込めば自力で解けた問題も、必要以上に難しい問題となり、理解できない問題となってしまいます。
 前頭葉を鍛えるにはどうしたら良いのでしょうか。林先生は次のように述べています。


 「統一・一貫性を望む本能」は、同じ遊びや練習、勉強をくり返すことによって鍛
 えられ、正しい判断力のレベルが上がってきます。ところが、目先の効率を重視し
 て、「同じ事をくり返すのは無駄だ」と思っている人が多く、「いつまで同じ事を
 やっているんだ!」という声が飛び交っています。これでは、普通の人には分からな
 い微妙な違いを 見分ける判断力を、本能のレベルから鍛えることができないた
 め、才能を持った子どもを育てることはできません。事実、たとえばアメリカ・メ
 ジャーリーグのイチロー選手のように超一流の人たちは、共通して、行動パターン
 や仕事の環境にまで一定に整え、無意識のうちに統一・一貫性の本能から判断力を
 高める習慣を持っています。pp.3 -4


 くり返しの学習の大切さを痛感します。       校長 見目 宗弘

理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される(2)

 3 大切なポイントを理解する
 理解には理解のポイントがあります。それを押さえることで理解しやすくなります。
 認知心理学者の市川伸一先生は『勉強法が変わる本ー心理学からのアドバイス-』(岩波ジュニア新書)という著書の中で数学の理解のポイントを示しています。数学の勉強で大切なのは「日常モード」と「学問モード」の区別です。

 ぼくたちは、日常語については、定義をいちいち習わなくても、いろんな具体例を
 通して意味がわかっていることが多い。イヌの定義を聞いた覚えがある人はいない
 だろう。子どものころから「あれは、ワンワン」とか「あれは、ニャンニャン」と
 か教えられて,自分でも使っているうちに、意味をつかんでしまうのである。当然
 ながら、定義を求められてもうまく言うことができない。こういうのは、日常モー
 ドの学習といえる。一方、学校での勉強はだいぶようすが違う。数学をはじめ定義
 がたくさん出ている。もともとは、それぞれの学問の中で決められたもので、それ
 が教科書に書かれている。「……を○○という」というパターンになっているもの
 は、まず定義だと思ってさしつかえない。それを通して、意味を理解せよと言われ
 るのである。これが学問モードの学習だ。それまで日常モードでやっていた子ども
 にとってはかなりつらい。でも、とりあえず、この2つの習い方の違い、つまり
 「日常モード」と「学問モード」の違いを意識しておくこ とは大切だ。pp.68
 -69

 数学の勉強のポイントは「学問モード」の勉強に切り替えることです。

 習ったはずなのにわからない、説明できないという人は、勉強方法を直したほうが
 いい。日常モードでの学習に留まっている可能性が高いからである。学校で習う教
 科の世界とは、もう学問モードにはいっているのだ。もちろん、学問の世界とまっ
 たく同じではない。定義が簡略化されたり、あいまいにされたりしているところは
 あるが、少なくとも中学校、高校では、もうその入口から中にはいっている。p.
 73
 
 「学問モード」の勉強でかんじんなポイントは「定義と具体例」を押さえることです。

・学問モードでは定義をつかって学習やコミュニケーションがなされるんだけど、そ
 れだけじゃわかりにくいんで、具体例とセットにするわけだ。それが学び方の第一
 歩だよね。p.73
・では、うまく説明できなかったときは、どうするのだろうか。簡単なことである。
 教科書や参考書を見直してみればいい。とくに、定義と具体例に注意して読むの
 だ。ぼくが学習相談をする中で見ている限り、そうした読み方をしている生徒はほ
 とんどいない。数学や物理では、教科書などほとんど読まずに、問題を解いて答え
 合わせをしているだけという生徒がすごく多い。それでは先生の解説や、テスト問
 題の意味さえわからなくなってくるのも当然である。pp.73-74

 
 このように大切なポイントを押さえて理解することで、理解しやすくなります。
 各教科、それぞれの単元でポイントがあります。ぜひ、各教科の先生にポイントを教えてもらってください。4に続く。       校長 見目 宗弘

 理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される(1)

 理解は理解すべきものの示され方によって、わかりやすくもなったり、わかりにくくなったりします。また、説明者にも左右されます。理解は感情に左右されるのです。そのことを見ていきます。

 1 簡単なことを先に理解し、難しいことを後から理解する
 理解には順番があります。簡単なことを先に理解し、後から難しいことを理解するという順番です。大まかに理解し、その後で細かく理解するということもそうです。実は教科書がこのように作られています。教科書は、簡単な問題から難しい問題へと配列されています。教科書をていねいに読み込んでいけば理解しやすいようになっています。


 2 適切な量を理解する
 また、理解には量も関係します。一度にたくさんのことを理解しようとすると理解しきれません。そのため、量をしぼりこんで理解することが良いです。これを実践に移すと次のようになります。

 参考書の内容をスムーズに理解する秘訣 添野航平(仮名)・文科1類1年
 小さな範囲を重点的に繰り返し読む
 「はやる気持ちに押されて、先へ、先へとひたすら進んでいくのは、私はあまりお
 すすめできません。1回の勉強時間単位で考えるなら、広範囲をザッと流すのでは
 なく、限られた範囲を重点的に何度も繰り返し勉強する方が、絶対的に効果的で
 す」。
 「例えば参考書を読むなら、すぐに頭に叩き込もうとするのではなく、初回は軽く
 読む程度に、回を重ねるごとに、深く理解していくようにした方が、スムーズに進
 みますよ」。p.106 『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えま
 す』東大家庭教師の 会著(PHP)

 
 3に続く。                  校長 見目 宗弘

理解には際限がない

 勉強方法を考えるときに「理解」→「定着」→「応用」という流れで考えていくと書きましたが、理解には際限がありません。
 例えば、皆さんが見知らぬ街の指定された目的地に行かねばならないとします。教えてもらった道順どおりに行くと目的地にたどり着けます。ひとまず「道順がわかった」と言えます。それでも、一本違う道に入り込んだとたんに道に迷ってしまいます。このようなとき、迷いながらもうろうろしながら街の様子がわかってきます。歩き回ったことで、目的地までの新しいルートがわかってきます。そのとき「新しい道順がわかった」ことになります。このように理解には際限がありません。同じことが勉強でも言えます。

 自分では既有知識を駆使し、制約条件のすべてを充足する、一応もっともらしい完
 全な説明をうみ出すことができた、その意味でよくわかった、と思っても、既有知
 識を異にする別の人にとっては必ずしもそうではない。それが相手への質問や批判
 となって出てくることになり、これに答えようとすると、今までの説明(理解)で
 は不十分で、さらにもっとわからなければならない部分があることにお互い気づ
 く。そこでさらにまた考え続けることになる。(中略)こうして「わかっている状
 態」から「わからない状態」へ、さらに再び「わかっている状態」へのいう具合
 に、二つの状態をくり返しながら、次第により深く理解が進んでいくのである。
 p.129 『人はいかに学ぶか 日常的認知の世界』稲垣佳世子・波多野誼余夫
 著(中央新書)

 「わかっている状態」というのは一安心している状態で、別の角度からものを見ると「わからない状態」になってしまうのです。「わからない状態」を解消しようとしてさらに理解すると次の段階の「わかっている状態」になります。理解には時間がかかります。

 いいかえれば、理解をともなう学習には時間がかかるのである。時間に追われ、多
 くのことを速やかに処理しなければならない場合には、とても深い理解など達成で
 きない。p.63 『人はいかに学ぶか 日常的認知の世界』稲垣佳世子・波多野
 誼余夫著(中央新書)

 
 勉強方法において、「理解」→「定着」→「応用」という大まかな流れはありますが、「定着」においても「応用」においても、理解はかかわっています。「定着」と「応用」を早く行いたいという気持ちがあるでしょうが、「理解」に時間をかけ大切にしてほしいと思います。             校長 見目 宗弘

難しいことは入門書や概説から理解する

 国語や社会や理科の難しさは、数学や英語の難しさとは違います。ある単元はわかるけれども別の単元はわからないという難しさです。例えば、理科で「天気」のところはわかるけれど、「電気」のところはわからないという、部分的な難しさです。
 わからない理由は、数学や英語と同じで、その分野の蓄積された情報が不足しているから、新しいことを理解できないのです。
 これは大人でも同じです。私は哲学書を読んだとき、字面は追えても、内容は全く入ってきませんでした。それどころか、読み進めるうちに眠くなってきてしまいました。哲学に関して、蓄積された情報がなかったため、理解できなかったのです。
 私は入門書を読み、大筋を理解した上で、もう1度哲学書を読み直しました。そうすると、1回目より、ずっと理解できるようになりました。
 入門書や概説から入るということは、苦手な分野や領域を理解する上でとても重要なことです。東大生もこのことを勉強法に活用しています。

 レベルの高い本に挑戦するための良い方法 高瀬明美(仮名)・工学部3年
 難しい本を読む前に、雑誌を探す
 「私の場合ですが、例えば現在学んでいる建築関係の難しい本に挑戦しなければな
 らないとき、まずはそれに類するちょっと軽めの雑誌や、写真が多めの本を探して
 きて読む。そして、少しでも興味が持てるようにするわけです」(中略)
 「自分にとってとっつきやすいところからアプローチし、興味が持てるようになっ
 たら、徐々にステップアップすればいいのではないでしょうか」。p.108
 『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大家庭教師の会著
 (PHP)

 
 この事例は興味をもつために雑誌や写真が多めの本を読むという事例ですが、簡単な本を読むことで、情報が蓄積されています。
 苦手な分野、苦手な領域の学習では、いきなり全てを理解しようとせず、大まかな内容から理解した方が理解しやすくなります。ただ大まかな内容がまとめられたものが教科書には出ていないので、現時点ではそこが難しいところです。(トップダウンの情報処理を行うところで述べますが、「自ら大まかにまとめること」が方法かと思います。)                   
                          校長 見目 宗弘

 理解には理解する素地が必要である。

 私たちは自分の経験や頭の中に蓄えられた情報をもとに新しいことを理解しています。このことを宇佐美寛という大学の先生は次のように説明しています。

 学習者に与えられた情報は、この蓄積構造の中のある部分に組みこまれ他の情報と
 関連づけられる。基底の直接経験の層の情報にまで結びつく。これが情報を「解釈 
 した」ということであり、「解釈内容を得た」ということでもある。p.144
 『授業にとって「理論」とは何か』宇佐美寛著(明治図書)

 
 頭の中にすでにある情報の蓄積構造に位置づけられるとき、理解できるのです。だから、頭の中に蓄えられた情報が不足していると、新しいことが理解できなくなります。積み上げの教科である数学と英語にはその傾向が顕著です。そのため、数学や英語では以前学習したところまで遡って学習し直す必要があります。

 数学の事例
 例えば、中3の「関数y=ax(2)」でつまずいたなら、中2の「一次関数」へ、そ
 れでもまだ難しい場合は中1の「変化の対応」までさかのぼります。小学生レベル
 の「比例・反比例」まで戻ることにもためらう必要はありません。「理解」に重点
 を置いて学習し直すことが、克服につながるからです。 開倫塾 和田英明「数学 
 パターン習得で向上」『読売新聞』2014年(平成26年)6月27日(金)

 英語の事例
 中2で入塾したA君は英語が苦手で、成績もなかなか伸びないことが悩みでした。
 彼は、中2までに身につけておくべき単語・熟語・基本文型などの基礎知識が抜け
 落ちていました。これらの基礎知識は、英語の4つの力(読む・聞く・書く・話
 す)を支える英語の柱です。この柱をしっかりと築くことができずにつまずいてし
 まったのです。そこで、「音読を徹底的に繰り返す」ことをA君に課しました。
 (中略)中3になった今では、苦手だった英語が得意教科となり、偏差値は35か
 ら55へと大幅に向上しています。 開倫塾 中谷克信「英語『音読』が効果的」
 『読売新聞』2015年(平成27年)10月9日(金)

 
 数学や英語では理解できるところまで戻って、学習し直す必要があります。
                         校長 見目 宗弘

新聞に出ていた、読むことで理解する事例

 新聞に出ていた、読むことで理解を深める事例を紹介します。国語の場合は教科書の理解ではなく、読むこと自体の力をつける事例です。

 国語 コラムを読み、読む力をつける
 特にお薦めなのは、1面にあるコラム(読売新聞では「編集手帳」)です。タイムリ
 ーな話題が比較的短い文章で、「起承転結」の組み立てで書かれているため、とても
 読みやすいです。また、見出しがないため、先入観をもたずに読むことができます。
 そこで、家族の皆さんや友達と一緒に同じコラムを読んで見出しをつけ、その理由や
 内容について意見交換してみましょう。 開倫塾 津久井幸「新聞で考える力をつけ
 よう」『読売 新聞』2016年(平成28年)8月14日(日)
 
 社会 教科書の音読
 あらゆる教科の学習の基本は教科書です。ですから、社会もまずは教科書の全内容を
 覚える意気込みで声を出して読む音読にはげんでください。 開倫塾 鈴木一昭「分
 野別 歴史年表を作ろう」『読売新聞』2016年(平成28年)5月1日(日)
 
 数学 参考書を繰り返し読む
 市販の参考書には大きく2つのタイプがあります、1つは、高校受験に必要な知識が
 網羅されているもの、もう1つは、基礎・基本の理解に重点を置き、テーマを絞って
 詳細に解答や解説をしているものです。参考書は自分のレベルに応じたものを選ばな
 ければなりません。苦手克服には、「理解」に重点を置いた後者が適切です。1度読
 んでわからなくても、間をおいて、2度、3度と繰り返し読みましょう。そうする
 と、少しずつ内容が頭に入ってくるようになります。根気よく、理解しようと努める
 ことが重要です。
 開倫塾 和田英明「数学 パターン習得で向上」『読売新聞』2014年(平成26
 年)6月27日(金)
 
 理科 教科書や参考書の音読
 体温では、「恒温」は周りの温度が変化しても体温がほぼ一定に保たれ、「変温」は
 周りの温度変化に伴って体温が変化します。このように、教科書に出てくる語句一つ
 ひとつの意味をしっかり理解することがたいせつです。教科書や参考書をよく音読す
 ることをお勧めします。 開倫塾 岡部正行「理科 疑問持つこと大切」『読売新
 聞』2017年(平成29年)7月17日(月)
 
 英語 教科書の音読→語句調べ→日本語訳→英文に直すこと→○つけ
 そこで、その日に学習した教科書のページを音読しましょう。音読の際に、読み方や
 意味がわからなかった場合はすぐに調べましょう。その後、教科書の本文の日本語訳
 が自分でできるかをノートに書き出して確認しましょう。次に、ノートに書いた日本
 語を英文に直す作業をしましょう。英文を書き終えたら、教科書の内容と比較して、
 間違えた部分を赤ペンで直し、間違えた文章や単語を覚えるまで声に出しながら書く
 練習をしましょう。開倫塾 津久井幸「英語 まず教科書音読」『読売新聞』201
 7年(平成29年)6月26日(月)
 
 各教科、あくまでも1つの事例ですが、教科書の音読を大切にすることで、かなり理解できることがわかります。                                    校長 見目 宗弘

教科書を何回も音読すること

 教科書を読むときに何回も音読するとさらに効果的です。『東大生が選んだ勉強法「私だけのやり方」を教えます』東大家庭教師の会著(PHP)には、文科3類2年の内田成美(仮名)さんの「教材は教科書一本で勉強していた」という報告が載っています。その方法は次のものです。

 「何度も繰り返し読み、流れを頭の中に入れていました。読むときには、ペンなども
 持たずに、本を読むのと同じような感じで。特に手で書いたりしなくても、何度も繰
 り返し読んでいくだけで、内容が頭の中に入ってくるものですよ」pp.15-16
 
 内田さんは教科書の読み方のコツを説明します。
 
 「全部を丸暗記しようというのではなく、全体の流れをつかみ、出てくる用語が全部
 理解できていればよし、という意識でやっていました。難しくてわかりにくかったと
 ころは、立ち止まって調べる。そして、日を改めて再開するときには、前回立ち止ま
 ったところに少し戻り、そこから読んでいくようにしていました」。p.16
 
 全体の流れをつかむ→用語を理解する→わかりにくいところを調べる→再び、読むという流れです。さらに内田さんの勉強法は速読で読むことに特徴があります。
 
 「時間を短縮するために、なるべく速いスピードで読んでいました。速く読むと、そ
 れだけ多くの内容に目を通せますから。それと、テストに向けての訓練、といった意
 味合いもある。例えば英文などの場合、実際のテストでは、あまり時間がないなかで
 長文を読み解かなくてはならない。そのため、日頃から速く読んで理解できるよ
 うに、と頑張っていました」。p.16
 
 速読ができるようになるには何回も繰り返し読むことが必要です。読み込むうちにスピードが上がります。
 
 「初めはゆっくり読み、理解していく。その後、何度も読んでいくと、用語の意味や
 人名などが頭の中に入ってくる。すると、回を重ねるごとに、速く読めるようになっ
 てきます。最終的には、内容がほぼ頭の中に入っているので、サーッと流して読める
 ようになる。何度も読んで完璧に理解すれば、その文章をザッと流し見するだけで、
 不思議と目から頭の中へと内容がスムーズに入ってくるような感覚になるんです」。
 p.17
 
 内田さんの例は、何回も読むことで理解が進み、内容も覚えてしまったという例です。覚えなくても繰り返し教科書を読むことで、理解が深まることは確かです。読むときに音読が良いのは、音読すると読み飛ばしがなくなり、内容が頭に入ってくるようになるからです。最初はおおまかな理解でよいのです。繰り返す中で細部を理解できるようになります。                 校長 見目 宗弘

理解はインプットである

 勉強の最初はインプットです。予習であれば教科書の文章を読むこと、授業であれば先生の話を聴くことがそれにあたります。
 
 では、最も基本的な学習とは何でしょうか。それは、文章を読むことです。すべて
 はそこから始まると言っても、過言ではありません。まずはリラックスして机に向
 かい、落ち着いて本を読む癖をつけることが大切です。(中略)文章を読む、人の
 話を聴く、そして文章を書く。これが勉強の基本です。その最初の部分でつまずい
 てしまっては、その後の勉強すべてに支障を来してしまいます。pp.82-83
 『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』森山真有著(PHP文庫)

 
 このインプットが案外おろそかにされている傾向にあります。教科書を丁寧に読む、教科書を繰り返し読むということです。教科書を繰り返し読むことで自力で理解できることが多いのではないでしょうか。
 インプットをより効果的にするには、家で予習し、授業で質問するという流れを作ることです。

 私は、予習は「した方がいい」という考えです。その理由は2つあります。第一
 に、教科書を一通り読む程度の予習であっても、それによって次にどんな勉強をす
 るのかわかります。たとえ内容がよくわからなくても、「次はわかりにくそうだ」
 という見通しを持つことができます。それだけでも、授業に臨む姿勢が違ってくる
 でしょう。第二に、予習して少し内容がわかったとしても、おそらく、わからない
 ところもあるはずです。そうすると、「ここは注意して聞こう」といった構えがで
 きます。つまり難しいところ に適切にエネルギーを振り向けることができるので
 す。p.41
 『学習支援のツボ 認知心理学者が教室で考えたこと』佐藤浩一著(北大路書房)

 
 予習の目的は「難しそうなところ」「わからないところ」を明らかにすることです。それらを明らかにした上で、授業に臨むことで聴くべきところに力を集中することができるのです。予習によって「読む→聴く」という2つのインプットができ、インプットが確実になります。授業ではわからないところをどんどん質問して欲しいと思います。                  校長 見目 宗弘

 理解を知る6つの視点

 数学で「何を問われているのかがわからない」と思った問題が、後で先生から解説を聞いてみると実は難しくなく、自力で解けた問題だったという経験が生徒の皆さんにはあったと思います。最初に「何を問われているのかがわからない」と思ってしまったところに、理解というものの性質が色濃く出ています。理解は感情に左右されてしまうものなのです。
 理解について詳しく知ることは、勉強の質を高めることにつながります。理解について、以下、次の6つの視点から見ていきます。

 1 理解はインプットである。
 2 理解には理解する素地が必要である。
 3 理解は際限がない。
 4 理解は説明の仕方、説明内容、説明者に左右される。
 5 アウトプットで理解が確かになる
 6 理解の当面のゴールはトップダウンの情報処理である。

                            校長 見目 宗弘

理解してから覚える

 勉強方法を考える上で一番大切なのがこの「理解」の部分です。しかし、多くの人が「定着」に意識があり、理解していないまま定着させようとしている傾向があります。後の「定着」のところでも触れますが、丸暗記が通用するのは「知識記憶」が優位にある小学時代です。「経験記憶」が発達してくる中・高時代は、理解していないと覚えにくくなってしまうのです。
 それほど「理解」が大切なのに、「理解」についてはあまり語られていないように思います。「理解」を詳しく理解することが、勉強のつまずきを解消することになると思うので、しばらく考察していきたいと思います。        校長 見目 宗弘

まず最初に、自分を理解する

 勉強関係の本を読んでいて意外と記述が少ないのがこの「理解する」ということについてです。理解したことを前提として多くの勉強方法が語られている感じがして、「勉強がわからない」「勉強方法がわからない」という声の大元はここにあるのだなと思います。
 さて、理解について深く掘り下げる前に、見落としがちな面を最初に押さえておきます。それは自分自身についての理解です。自分自身についての理解の大切さを述べているのは伊沢拓司さんです。伊沢さんは次のように述べています。伊沢さんの説明の中の「対策」はテストの対策のこと、「相手」は学習内容のことです。

 「対策」という言葉を聞くと、どうしても相手のことばかりに意識が行ってしまい
 がちです。しかし、戦いの場に立つのは、相手ともうひとり、自分がいます。勝負
 の変数は2つあるのです。相手がx、自分がyの2元方程式であり、両方に数字を
 入れないと答えは出ません。そもそも対策といった時に相手のことばかりが意識さ
 れてしまうのは、「自分のことは自分がよく知っている」という前提があるからだ
 と僕は思うんです。しかし、果たしてみなさんは自分のことを理解している、と言
 い切れるでしょうか?ぼんやりとは理解しているとは思います。(中略)しかし、
 ゲームのプレイヤーデータを見るような客観性で自分を分析し、それに対して対策
 を取る、みたいなことができる人は少ないはずです。pp.49-50   『勉強大
 全』伊沢拓司著(KADOKAWA)
  
 まず、自分のことを理解していないといくら良い学習計画を立てても誘惑に負けてしまい実行に移せません。学習計画が絵に描いた餅になってしまいます。だから、伊沢さんは自分への対策の必要性を述べます。

 
 自分の弱い面を「知らないふりをして放置する」のではなく、「知った上で、その
 正確を前提とした対策を取る」のです。夕飯を食べた後に怠けてしまうようなら、
 食後はお風呂タイムにして、食事前や入浴後に勉強するとか。p.51

 
 伊沢さん自身はゲーセンが大好きなので、その前を通らないように対策を立てているということです。
 自分を理解するということは勉強法を考える際の出発点です。自分を理解し、計画が実行に移せるような対策を立てて勉強に取り組みたいところです。  
                           校長 見目 宗弘

勉強法を考える順番

 前置きが長くなりましたが、いよいよ勉強方法について見ていきます。勉強方法を考える際、「理解」→「定着」→「応用」という順番で詳しく見ていきます。この順番は新聞の次の記事を参考にしたものです。
 
 【理解】
 理解とは、「うん、なるほど」とよくわかることです。まず、予習で教科書・テキ
 ストを読み、自分の分からないところを明らかにします。授業では、わからなかっ
 たところを集中的に聞き、教科書に書かれていないことや、先生が強調しているこ
 とをメモに取ります。さらに疑問があれば、先生に必ず質問して、その日のうちに
 解決するように努 めてください。
 【定着】
 授業を受けたその日のうちに、復習として、3大練習(音読・書き取り・計算)や
 教科書の例題・基本問題に取り組みます。一度覚えたことも、1日たつと半分以上
 を忘れてしまいます。理解した内容を確実に身に着(ママ)けるためには、何より繰り
 返すことが大切です。①大事なことが口をついてスラスラ言える②楷書で正確に書
 ける③基本的な問題 は見た瞬間に答えが出せる—状態になれば、定着したと言え
 ます。
 【応用】
 応用とは、理解・定着したことを「用いる」こと、つまり得点力を身に着(ママ)ける
 ことです。そのために取り組むのが問題練習と間違いノート作りです。教科書や
 ワーク、テストで間違えた問題を記録します。このとき、間違いはそのまま残して
 おくのがポイントです。解答・解説をよく読み、間違えた理由や注意点を赤ペンで
 書き込みます。自分がどの段階でつまずいたのか、何が原因なのかを繰り返さない
 ために必要な練習に取り組むことで、得点力を高めることができます。
 「受験必勝ゼミナール 新学年 学習のポイント」開倫塾講師 緒方滋泰
 『読売新聞』2014年(平成26年)4月4日(金)

 
 この説明を参考にして、これから「理解」「定着」「応用」を深く掘り下げて、勉強方法を考えていきたいと思います。        校長 見目 宗弘

勉強する目的

 勉強について整理すると、大変なことをしなくてはならない気持ちになり、「知識を覚えたり、情報活用力をつけたり、そこまで大変な思いをしてわざわざ勉強しなくても良いです」という声が中学生の皆さんから聞こえてきそうです。しかし、それは教育が当たり前に施されている日本にいるから思えること。
 今から100年以上も前の話になりますが、学校制度ができた頃のイギリスでは「子どもは大切な労働力なのに、どうして子どもを学校に行かせなくてはならないんだ。」と、保護者が学校に殴り込みに行ったという記録が残っています。このような歴史を振り返ると、学校に来て勉強することは、皆さんの大切な権利であるように思います。
 自分自身のために、勉強するという権利を行使してほしいと思います。その上で、次のような言葉があることを心のどこかにとどめておいてくれたら、うれしいです。
 
 人はなぜ勉強しなくてはいけないのか。私自身の考えを申しますと、「人や社会の役
 にたつための勉強する」が答えです。他者の役に立つために、私たちは生まれてき
 た。愛する家族のため、愛する隣人のため、愛する社会のために私たちは生きている
 のだと、そう考えています。p.16
 『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』森山真有著(PHP文庫)
                                                         校長 見目 宗弘

勉強のプロセスも大切にする

 前回、勉強において情報活用のプロセスが大切だと書きました。クイズの東大王の伊沢拓司さんもクイズに答えるためにそのような取組をしていることを著書『勉強大全』(KADOKAWA)に書いています。

 僕は万物を少しずつ知って極めようとしたのではなく、番組を分析し、頻出の問題を
 集め、自分の苦手形式を繰り返すことで弱点を埋めていったのです。p.47
 
 伊沢さんは分析し、情報を収集し、しぼり込み、知識を獲得しています。知識を獲得するプロセスが課題解決の過程となっています。このような取組であれば、プロセス自体も財産です。このような取組をするから受験勉強も財産となります。
 
 今振り返ると、受験勉強は、その後の僕の人生に役立ったと思います。学歴や勉学の
 話ではありません。自分を目標の前に立たせ、攻略法を考え、自己分析で弱点を直視
 し、一日一日進んでいく。その過程で、今後の人生での難題への向き合い方を、わず
 かばかりでも知ることができた、そんな気がします。p.354
 
 中学生の皆さんの関心はいかに覚えるかということだと思いますが、取り組み自体も大切にしてほしいと思います。「どう理解し覚えるか」「どう活用するか」を考え、工夫を凝らしながら勉強するということです。勉強を通して、課題解決の手続きを身に付けることは人生にとって大きな財産となると思います。  校長 見目 宗弘

第1回学校評議員会・地域教育協議会開催

 梅雨に入り、不安定な天候が続いております。
 昨日、PTA代表、自治会代表、民生委員、児童委員等、5名の地域の皆様の御協力を得て、今年度1回目の学校評議員会を開きました。学校の教育活動に対して御意見をうかがい、改善を図ってまいります、あわせまして、ここに地域コーディネーターと学校長を加え、地域教育協議会も開催いたしました。地域の皆様が来校されての学習支援や、逆に、生徒が地域に赴いての体験活動等に際し、学校と地域をつなぐ役割を担います。1年間、お世話になります。
 
    (会議の様子)           (校内見学・授業参観)

 情報を整理して、やることをしぼりこむ

 中学生の皆さんにとっては少し難しい話になってしまいました。
 ここまでをまとめます。
 今、勉強に求められることは「文化の継承」と「文化の創造」です。「文化の継承」は学校教育にずっと求められてきたことで、知識の量と質で測ります。「文化の創造」は新しく求められるもので、問題解決ができることで測ります。でも、問題解決そのものはテストで簡単に測ることができないので、問題解決の力をもっているかどうかを記述式問題で測ります。記述式問題に答えられることは、知識を道具として使えていることになるからです。
 このようにまとめると、中学生の皆さんは「今までよりも勉強しなくてはならないことが増えて大変だ」と思うでしょう。中には「テレビのクイズ番組に出演している人たちは知識量はあるけど、問題解決の力はあるのだろうか」と疑問に思う人がいるかも知れません。
 ……テレビのクイズ番組に出演して、たくさんの知識をもっている人は問題解決の力をもっていると思います。というのは、知識を覚える過程で、情報を収集し、整理し、しぼりこんで覚えるという手続きを踏んでいると思われるからです。その手続きは問題解決に必要な手続きです。
 このように考えると「文化の継承」の力を付けつつ、「文化の創造」の力を付ける方法が見えてきます。それは、勉強の結果だけではなく、そのプロセスも大切にするということです。大切にするプロセスとは、情報を収集し、整理し、しぼりこみ、利用するという情報活用のプロセスです。作戦を立てて、勉強に望むということです。作戦というと仰々しいですが、やみくもにかたっぱしから理解し、暗記するのではなく、情報を整理し、理解や暗記をするのです。やることをしぼりこむということが問題解決の力を高めていくことにつながります。      校長 見目 宗弘

記述式問題が増える理由

 「文化の継承」や「文化の創造」をテストや入試で考えるとどういうことになるのでしょうか。
 文化を継承する力は、従来のテストで診断できます。では、文化を創造する力を診断するには……。その診断は難しいです。何かを創造することは時間がかかり、評価が難しいからです。
 とすると文化を創造する力をテストで評価できないのでは?
 新しい文化は、今までの知的財産を評価したり否定したりして、創造されます。その意味で「文化の継承」と「文化の創造」とはつながっています。つながりは、今までの知的財産が道具になるということです。
 このことから文化を創造する力をテストするには、知識を材料として活用できるかどうか問えば良いことがわかります。出題形式としては次のようになります。

 教育改革が進み、数年後には大学入試が「課題解決型」に移行します。それに合わ
 せて高校入試も変わり、今後は全教科で出題形式や内容の変更が行われると思いま
 す。中でも、記述式問題が増えるのは間違いないでしょう。
 「勉強のコツ 記述解答の出題 今後増加」開倫塾教務本部長 渡辺博(『読売新
 聞』2016年(平成28年)7月17日(日))
 
 知識をコンパクトにし、知識を道具として使いこなせるかどうかを見るために、記述式問題が増えるのです。文化を創造する力の診断です。情報を大つかみに把握し、使うことができる力が重視されます。課題解決の過程、そして、課題解決の手続きがとても大切になってきます。           校長 見目 宗弘

「文化の継承」と「文化の創造」と

 今、求められるのは課題解決の力だと示しました。
 このことを考えるのに適した新聞記事があります。全日本科学教育振興委員会委員長の大木道則氏の「論点『学力』考え方 再考が必要」(『読売新聞』2002年(平成14年)5月3日(金))という記事です。
 大木氏は科学技術振興の立場から学校教育についての意見を述べています。大木氏は「多くの場合、『学力』=『知識量』であるという定義が、見えかくれする。」と、一般的には学力は知識量であるとされていると指摘します。しかし、科学者や技術者はそのような立場とは異なることを述べます。

 しかし、科学者・技術者に「学力」とは何かと尋ねれば、それは子供が持つ知識の量
 だと答える人は、まずいない。科学者たちは、実力は知識の量だけでなく、それを活
 用して研究に役立てることが重要だとよく分かっているからである。
 
 そして、科学者・技術者と国民の多くの考え方の違いを次のように説明します。
 
 それでは、国民の多くが持つ「学力」に関する解釈と、科学者・技術者が持つ解釈に
 差があるのはなぜだろう。その理由は、学校教育において「文化の継承」が重視さ
 れ、創造的な活動が軽視されてきたことによると考えられる。
 
 確かに学校は「文化の継承」を大切にしています。そのため、学習の結果としての知識とその量が大切にされます。大木氏はこのことが次の問題を生じていると指摘します。
 
 まず事実を記憶してしまえという教育は、「なぜそうなのか」と考える人間の基本的
 行為を避けるように働く。これは、科学技術の発展にとって、極めて深刻な負の材料
 なのである。科学の問題にチャレンジする時、いつも正解を教えられていた子供たち
 は「なぜそんな面倒なことをやらねばならないの」という疑問に直面する。知識の中
 に解決法が見つからない場合には、途中で挫折してしまうのはまことに残念なこと
 だ。

 この説明の後、大木氏は次のようにまとめます。

・知識量と、問題解決に努力する力、この二つを兼ね備えた人こそ「学力がある」と言
 われるべきだと私は考える。
・「文化の継承」とともに「新しい文化を創造する」ために、教育や学力に関するとら
 え方を根本的に考え直す必要がある。
 
 大木氏のこの記事は18年も前のものです。先の「中教審答申」を思い出すと、大木氏の指摘した方向で教育は動いているように思います。今、勉強では「文化の継承」ができ、なおかつ「文化の創造」ができることが求められているのです。
                       校長 見目 宗弘

求められる課題解決の力

 では、今、どういう学力が求められているのでしょうか。
 生徒の皆さんが学ぶ教科書は文部科学省の示す「学習指導要領」というものを受けて作られています。「学習指導要領」でAについて学習する必要があると示されると、教科書にAのことが載るようになります。
 その「学習指導要領」に影響を与えるのが、「中教審答申」です。これは専門家の人たちが集まって、教育について議論し、「これからの教育はこうあるべきだ」と示したものです。平成28年に示された「中教審答申」には次のようにあります。

 “今学校で教えていることは時代が変化したら通用しなくなるのではないか”といっ
    た不安の声もあり、それを裏付けるような未来予測も多く発表されている。
 
 現代は、時代の変化が速く、学んだことが役に立たなくなるのではないかという指摘です。このような時代だから、次のことが求められます。

 解き方があらかじめ定まった問題を効率的に解いたり、定められた手続を効率的に
 こなしたりすることにとどまらず、直面する様々な変化を柔軟に受け止め、感性を
 豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生を
 よりよいものにしていくのかを考え、主体的に学び続けて自ら能力を引き出し、自
 分なりに試行錯誤したり、多様な他者と協働したりして、(中略)よりよい社会と
 幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である。
 
 長い1文ですが、要は今までの学力にとどまらず、課題を解決する力を付けることが大切であるということです。とても難しいことが教育に課せられました。なぜなら、課題を解決するのは、大人でも簡単ではないからです。
 次回はもう少し、このことを掘り下げて考えてみましょう。 校長 見目 宗弘

求められる学力が変わってきている

 まず、勉強について考え直してみたいと思います。
 勉強方法さえ分かれば、勉強について考えなくても良いように思います。しかし、勉強について考えなくてはならないのは、求められている学力が変わってきているからです。求められている学力が変わってきているということは、テストや入試の問題も変わりつつあるということです。記述式の問題が増えてきているのはそのためです。これらに対応するためには、対応できる力をつけるための学習方法が選択されるべきです。だから、勉強について考える必要があるのです。     校長 見目 宗弘

最適な勉強方法は目的や内容によって変わる

 さて、いよいよ第3部の勉強方法に入ります。
 方法を考える上で大切なのは、目的や内容が違えば最適な勉強方法も変わるということです。また、一人一人の情報処理の仕方も違うので自分にあった最適な勉強方法も違います。そのためネットで「勉強方法の本」と検索すると非常にたくさんの本が検索され、たくさんの方法があることがわかります。
 ここでは、勉強方法をカタログ的に示すのではなく、勉強法を考える上で基本となる大切なことをおさえていきたいと思います。具体的な方法については生徒の皆さんが「自分にあった方法」を試行錯誤しながら見つけていってほしいと思います。(後に述べますが、この試行錯誤という手続きが今、求められている学力ではとても大切なのです。)
 以下、勉強方法について、大きく4つに分けて述べていきます。勉強について、理解について、定着について、応用についての4つです。    校長 見目 宗弘

生徒集会・生徒会専門委員会実施


 今年度初めての生徒集会を校内放送で行いました。生徒会役員の話が主で、今年度のスローガン「ONE TEAM 自由な心でつくりあげる みんなの豊中」も発表されました。いつもの年のようにいかないことが多く、苦労することも予想されますが、全校生徒心一つに頑張ってほしいと願っています。

 終了後生徒会専門委員会が続き、それぞれ組織づくり、活動計画立案などを行いました。今後、各自責任をもって活動に取り組んでくれることを期待しています。

学校支援ボランティア募集(お知らせ)

 日光市教育委員会事務局生涯学習課より

 この事業は、「地域と学校が協力・連携して、日光に住む大人たちが、
日光の子どもたちをみんなで応援しよう。」という事業です。

 興味がある方は、
 生涯学習課 21-5182
 にお問い合わせ下さい。

 また、募集チラシが学校に数枚届いています。
 興味がある方は、連絡下さい。(担当岩井)

 ボランティア例
 農園活動ボランティア
 読み聞かせボランティア
 花壇の整備ボランティア・・・様々あります。

根気という学力

 努力し続けるには根気が必要です。この根気を岸本裕史氏は「見えない学力」と言いました。岸本氏は学力を支える大切なものとして3つの「見えない学力」をあげています。言語能力、根気、先行経験です。見える学力を上げるにはこれら3つの「見えない学力」を大切にする必要があると言います。
 岸本氏は根気を「深部の学力」と呼びます。
 
 そして、家庭で毎日、何かの仕事をきちんと当てがうことです。すると、仕事だけで
 なく、勉強もおしまいまでちゃんとやり通す根気ができてきます。(中略)しつけ
 は、勉強と無関係のように見えますが、じつは"深部の学力"なのです。p.18
  『家庭でのばす見えない学力』岸本裕史著(小学館)
 
 勉強量を確保するには根気が必要で、その根気をつけるには、仕事を最後までやり通すことが必要である。つまり、「勉強ができるようになるには生活をしっかりすることが必要である」という結論です。
 これは詩人の大岡信さんが「言葉の力」というエッセイで書いていたことと同じです。桜の木は花のピンク色を出すために木全体でピンクになっている、人間の言葉も同じだと大岡さんは言います。勉強も同じです。自己を律する生活をすることで、根気強く努力を続けることができるようになり、勉強の花が咲くのです。生活が勉強の花を咲かせています。
 特にがまんの「入力の時期」。自分を律する生活をし、根気をつけていきましょう。
                         校長 見目 宗弘

努力しても結果が出ないとき

 勉強量を増やせば、学習の成果も出る、そう考えたいですが、残念ながらそうならない時もあります。特に勉強を始めた最初の段階がそうです。そんな状態を予備校講師の安河内哲也氏は次のように説明しています。

 当たり前の話ですが、勉強というのは基礎からやらなくてはいけません。その基礎を
 学んでいる3ヵ月、5ヵ月というのは、成績が上がらない。基礎が身に付いて、模試
 のレベルに近づいてようやくバンと上がるのです。p.121
 『今日から始める「やる気」勉強法』

 ある程度、わかってきてから一気に分かるようになるのです。そのため時間がかかるのです。漆校長先生はこのことを「入力の時期」「出力の時期」とダムにたとえています。

 あるときを境に急速に成績を伸ばす生徒を、いままで何人も見てきました。この子た
 ちに共通することは、本人が意識している、していないにかかわらず、それまでの隠
 れた積み重ねがあることです。(中略) ダムにたとえれば、最初のうちは、水をため
 る「入力の時期」が長く続き、ある日を境に、大量の水を放水できる「出力の時期」
 がくるようなものです。pp.163-164
 『伸びる子の育て方』品川女子学院校長漆紫穂子著(ダイヤモンド社)

 「入力の時期」はどの世界にも共通のものです。大人でも新しい職場では、物のある場所さえわからずに思うように仕事ができません。中学生なら部活動に入部したときがそうです。一通り分かるには時間がかかるのです。それが「入力の時期」です。
 この間は根気強く努力を続けなければなりません。「やる気をキープするための努力の貯金」でも書いたように今までの頑張りを振り返り、意欲をキープし続けることです。                        校長 見目 宗弘

交通安全教室開催


 昨日、1年生を対象に交通安全教室を実施いたしました。日光市から3名の交通教育指導員を招き、安全な自転車の乗り方などに関して御指導いただきました。自転車点検時のポイントについて説明を受けた後、校庭に設置した模擬道路を使って、実際に自転車走行をしました。生徒達は、途中チェックポイントを通過しながら、一時停止や左右後方の目視など、走行時の留意点を確認しました。

 

小さな時間を有効活用

 ふだん見過ごしているちょっとした時間を活用するという発想があります。社会人に向けて書かれた『すごい「勉強法」』高島徹治著(三笠書房)という本に示されていたことです。この本の中では時間が3つに区分されています。大時間、中時間、小時間です。大時間は土曜日や日曜日等、1日をフルに使える時間です。大時間の時間の中ではまとまった作業をすることができます。中時間は平日の家に帰ってからの時間です。約2、3時間。ある程度のことができます。小時間は15分前後の時間です。高島氏はこの時間を次のようにいいます。

 「勉強のできる人」と「できない人」の差は、小時間(細切れ時間)の使い方にあ
 ると言っても過言ではありません。p。138

 
 高島氏は、多くの人はこの小時間に気づいていず、「時間がない」と言っていると言います。
 小時間は作業をするには短か過ぎる時間です。この時間は電車を待つ間とか外に出かける前の時間とか、ちょっとした隙間の時間で、机で勉強できないような細切れの時間です。
 けれど、この時間に合った学習をすれば、小時間も有効な学習時間となります。例えば、暗記です。何かを暗記する時間として活用すれば、時間的にもちょうど良い時間となります。そのためには、中時間や大時間にその準備をしておくことが必要です。
 時間を上手に活用することで、限られた時間の中で量を確保することができます。
                         校長 見目 宗弘

部活動再開

 先週は、体を慣らす意味合いもあって、部活動はありませんでした。昨日から、まだ短い時間ながらも部活動を再開し、1年生も部活動見学を始めました。校舎内には吹奏楽部の楽器の音色が、校庭や体育館では運動部員の元気な声が響いていました。人との距離や対話などに注意しながらも、徐々に以前までの学校生活を取り戻しつつあります。

勉強の効果を倍増させる読書の習慣化

 スマホとは反対に実際に行った勉強の効果を倍増させる方法があります。それは読書です。読書は脳全体を使った活動です。読書の時間は脳がトレーニングをしているのと同じ状態になります。『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』川島隆太監修、松﨑泰・榊浩平著(青春出版社)には次の説明があります。

 
 本を読むとブローカ野、ウェルニッケ野、前頭前野という脳の大都市間に言語情報 
 が駆け巡ります。つまり、読書を毎日することで言語能力に関する神経迂回路網を
 走る情報の交通量が増大し、脳の大都市間をつなぐ太く強固な神経線維の束による
 高速道路が開通するというわけです。ちなみに、一般に言われる「頭の回転が速
 い」人は、ものごとを理解するのが速かったり、話の要点をつかむのが上手だった
 りしますよね。脳科学的には、読書を通した言語能力に関する神経回路の強化が、
 そのような頭の回転の速さにもつながる可能性があると言えるでしょう。pp.
 99-100

 
 読書を習慣化し、その上で勉強すると努力が結果に反映されやすくなります。       
                       校長 見目宗弘

努力を台無しにしてしまうスマホの長時間使用

 勉強時間を確保しても、その努力が無駄になってしまうことがあります。昨年度の学校だよりでもお伝えしたスマホやゲームの長時間使用です。スマホやゲームを1時間以上使用すると脳の活動が抑制されてしまうので、勉強の効果がなくなってしまうのです。
 このことを川島隆太先生の『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)をもとに再確認していきます。川島先生は平成25年度、仙台市立中学校に通う全生徒2万2390名の仙台市標準学力検査、仙台市生活・学習状況調査の結果を分析して、学力と生活習慣との相関関係を次のようにまとめました。まずは全体的な相関関係です。

 児童・生徒の学習意欲を向上させるためにまず肝心なのは、基本的な生活習慣でし
 た。特に朝食の習慣です。家族で一緒に豊かな朝食を食べることが、子ども達の学習
 意欲を向上させ、結果、学力も向上します。次いで大切なのは、家族とのコミュニケ
 ーションでした。話をきちんと聞いてくれる家族がいる子ども達の学習意欲が高いこ
 とがわかりました。プロジェクト開始当初は、学校で教師が子ども達にどう接する
 か、どのような授業を行うか、どのようなクラスを運営するのかが、子ども達の学習
 意欲に強く関わるとばかり思っていたのですが、答えは違っていました。家庭で家族
 がきちんと子どもと向き合うことが、子ども達の学習意欲の源泉だったのです。p
 p.16-17

 そして、勉強時間とスマホとの相関関係です。
 
 最初にわかることは、自宅学習時間が長いほど成績が良いという当たり前の事実。次
 いでわかるのは、自宅で勉強しようが、するまいが、携帯・スマホを使う時間が長い
 生徒達の成績が悪いという事実。さらに細かく読み取っていくと、たとえ家で2時間
 以上勉強したとしても、携帯・スマホを3時間以上つかってしまうと、ほとんど家で
 勉強をしないけれども携帯・スマホを使わない生徒達の方が、成績が良くなってしま
 うという事 実。p.18
 
 スマホを3時間以上使うと勉強を2時間以上しても、ほとんど勉強しない生徒の方が成績が良くなってしまうというのはショックです。
 先ほど脳の活動が抑制されると書きましたが、スマホやゲームの長時間使用は情報処理をし、思考の中枢を担う前頭前野に影響を与えてしまうからです。
 
 しかし、ゲームに慣れたとたんに、前頭前野が活動しなくなるばかりか、何故か逆
 に、安静時よりも活動量が少なくなる前頭前野の「抑制現象」が生じたのです。どの
 ようなゲームでも前頭前野に強い抑制がかかりました。p.180
 
 こうなると、ただ単に勉強時間を増やせば良いということではなくなります。効果が出るように生活を整えてから、勉強時間を増やすということが大切になります。脳の抑制に影響が出ないスマホ等の使用時間は1時間未満だと言われています。
                       校長 見目 宗弘

集中するために必要な休憩時間

 集中力を切らさないようにしながら、勉強の量を増やす。このための1つの方法として、分散学習がありました。集中を持続させるためには休憩時間をしっかりとることも大切なことです。次の引用にあるように、受験生には「休んではいけない」という意識が働きがちです。しかし、休憩時間を効果的にとることで集中力が持続します。

 計画を立てることが上手な生徒は、休憩時間の入れ方も上手です。休むことの重要性
 を体験的に知っているのでしょう。ある生徒が、休憩をとることの大切さを、こう力
 説していました。
 「私は、それまで勉強の合間に休憩をとっても、あまり休んだ気になれませんでし
 た。ただでさえ時間が足りないのに、『休んでいいのか』という焦燥感がつきまとう
 のです。でも、あるときから『いまは休憩時間。目標達成のために必要な時間』と割
 りきったことで、気分がすっきりしました。切り換えがうまくなり、結果として勉強
 にも集中できるようになりました」 (中略)
 人の集中力はそう長くは続きません。「3年後に楽しいことがあるから」というご褒
 美では、とても体はもちません。1か月のなか、1週間のなか、1日のなかに休憩時
 間を設けて、適度な息抜きをするほうが結果として効率がいいのです。p.161
  『伸びる子の育て方』漆紫穂子著(ダイヤモンド社)より

 休憩時間をとることで、集中力が持続し効果が上がります。休憩時間をとり頭をリフレッシュさせましょう。        校長 見目 宗弘

フェイスシールド寄贈

 長い、長い臨時休業明けの1週間。部活動なしとはいえ、毎日6時間授業を受けた生徒達。暑さも相まって相当疲れたことでしょう。週末には、まず体調を整えていただければと思います。ただ、疲れた中にも、仲間とともに学習し生活できたことは、何ものにも代えがたい喜びだったのではないでしょうか。
 ところで、先日マスクを寄贈してくださった渡辺産業様より、今度は生徒数分のフェイスシールドをいただきました。本格的に授業が始まった今、大変ありがたいお申し出で、職員一同心から感謝しております。今後、有効な活用方法について検討してまいります。

集中する環境を作る

 勉強に集中するという、細かなところに入ってきました。
 集中するためには集中できる環境を作ることです。例えば、勉強机にマンガやゲームを置かないということです。

 とにかく「マンガやゲームは勉強机以外の場所で」と徹底することです。p.
 142 『伸びる子の法則 自ら学ぶ習慣が身につく学習法』家庭教師のトライ専
 務取締役 森山真有著(PHP文庫)

 
 勉強に行き詰まったときに、マンガやゲームが手元にあるといつの間にか時間を忘れて遊んでしまいます。そのための環境作りです。
 環境を整える例として、『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』池田潤著(サンマーク出版)には次のことが載っています。

 自分の「集中環境」はどこにあるのか、ということをぜひ考えてみてください。
 最低限、これだけは揃えておいたほうが良いと思うことを挙げてみます。
 ・自分に合った机と椅子の高さにする(個人的には低めのものがオススメです)
 ・机の上の整理整頓
 ・勉強する部屋の整理整頓(家で勉強する場合)
 ・騒音がしない場所
 ・誘惑(テレビ、ゲーム、漫画など)が少ない場所
 ・使いやすい筆記用具
 ・気温は適温を保つ などなどpp.139-140

 
 理想は「さあ、勉強」という時にすぐに勉強に入れる環境を整えることです。机の上の整理整頓は基本的なことで、とても大切なことです。どこに何があるかわかるように整理されていると、勉強中、集中がとぎれないからです。 校長 見目 宗弘

集中して取り組むための「時間のブロッキング」

 勉強量を確保してもだらだらと勉強していたのでは、効果が上がりません。そこで勉強と休憩、遊びのメリハリをしっかりとつけることです。そのために、必要なのが「時間のブロッキング」です。次の説明の通り時間をブロックすることです。

 集中力を失わないために必要なこと。それは、「時間のブロッキング」です。ブ
 ロッキングとは何かというと、時間をブロックして、やると決めた活動のみに集中
 し、他の活動を徹底的に排除する方法です。例えば、14時から16時までは読書
 の時間。16時から17時まではジムで運動。このように、あらかじめ何に時間を
 使うかを決めておき、他のものは徹底的にブロックすることをこう呼んでいます。
 大事なのは、"徹底的に"他の活動を排除するということです。p.133
 『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』池田潤著(サンマーク出版)

 
 勉強に集中するために「この時間は勉強する時間」と決めることです。
 また、集中力を高めるためには、分散学習が効果的です。分散学習は時間を分けて学習することで心理学の用語です。対になる語が集中学習で、次の説明の通りです。

 
 例えば試験範囲の英単語を覚えるのに、テスト前日に2時間かけて覚えるのが「集
 中学習」、これに対して、1日1時間ずつ2日に分けて覚えたり、30分ずつ4日
 に分けて 覚えるのが「分散学習」です。p.20
  『学習支援のツボ 認知心理学者が教室で考えたこと』佐藤浩一著(北大路書房)

 
 心理学の世界では分散学習の方が集中学習よりもよいという結論が出されています。理由は次の通りです。


・人間の集中力はそう長くは続かないから。
・1日にたくさんの内容を詰め込もうとすると、それらが整理されないままになり、
 頭の中が混乱してしまうから。

 
 勉強量を考える場合、量と同時に「いかに集中して取り組めるか」を同時に考えることが大切になってきます。そうでないと、量を確保した意味が薄れてしまうからです。                          
                          校長 見目 宗弘