環境教育

ヒメマス体験学習の概要と記録
   本校の特色ある活動として20年以上継続している学習である。中禅寺湖の重要な産業であるヒメマス漁について、体験をとおして学ぶことを目的とし、中禅寺漁協、養殖研究所(現中央水産研究所)、東武興業、地域の住民の協力によって始められた。現在は5年生において総合的な学習の時間に学習している。主な活動はヒメマスの標識付けと放流、地引き網体験、ヒメマス採卵の3活動からなり、すべて菖蒲ケ浜で実施される。冬、卵からかえった稚魚は5月頃住み慣れた沢から湖に生活場所を変え中禅寺湖内を周遊しながら大きく成長する。3年後卵を抱えて生まれ育った沢に帰り産卵することになる。中禅寺湖におけるヒメマス漁は、この一連のヒメマスの習性を利用し、養殖することで産業として成立させたものである。
 5年生最初の活動は、6月に実施されるヒメマスの標識付けと放流である。冬の間地獄沢の水で養殖し育てた稚魚が、3年後どれだけ地獄沢に戻ってくるのか数を調査するのが目的で、はさみでヒレに刻みを入れ標識とする。毎年実施されるので、その年ごとに尾ビレ、尻ビレ、アブラビレと、3年周期で切るヒレを換えて実施する。児童は中禅寺漁協に行き、トレイに集められた稚魚を素手でつかんで専用のはさみでヒレを刻みを入れる作業を行う。児童9人で2時間かけて2000匹の稚魚に標識をつけることができた。児童は、3年後大きくなってもとの沢に戻ることを願いながら浜で放流した。
 第2回目は、9月に実施される地引き網体験である。3年前に放流したヒメマスがこの時期産卵のため沢に集まってくる。この時期をねらって地引き網で捕らえるのがこの活動である。この活動には、3年前実際に標識をつけた中学2年生も加わって実施される。また、この活動は人手と力が必要なことから地域の住民が総出で参加し網を引くことになっている。捕らえられたヒメマスは、標識の数が調べられ記録される。
 第3回目は、10月に実施されるヒメマス採卵である。地引き網で捕らえたヒメマスの腹を割いて卵を取り出し、人工受精させるまでの作業を行う。最初とまどう児童もいたが、オレンジ色の卵の美しさと、受精した卵がみるみるうちに変化していく命の営みに感動を味わうことのできる価値ある学習である。
 

 
愛鳥活動
 本校の特色ある活動として20年以上継続している学習である。本地区が探鳥の地として日本有数の場所であることと、自然を見る目を育てることをねらいに始まった。
 5月の初旬に第1回目の行事として「探鳥会」を実施している。この時期学校の裏山に夏鳥が戻ってくることと、木々の芽吹きが始まったばかりで野鳥が葉で隠れることなく見つけやすいとの理由で実施している。指導は学校職員のほか、日光自然博物館の自然解説員や鳥に詳しい地域住民が協力してくれる。事前学習で、児童は見られるであろう鳥のスライドを学んでいるので、今回もたくさんの鳥を確認することができた。今年は、キビタキ、ウグイス、シジュウカラ、コガラ、ヒガラ、イカル、イワツバメ、カケス等である。また、保護者にも参加を呼びかけた結果、4名の保護者が参加し、探鳥会活動を児童と一緒になって楽しんでいた。
 第2回目は、10月下旬の行事としての「巣箱かけ」を実施している。この時期はどの鳥も子育てを終えているので、雛を育てた後の巣箱を観察し生活の様子を確認すると同時に来年のために清掃することを目的としている。また、傷んだ巣箱もあるので6年生が卒業制作で作った巣箱を掛け替える作業も行っている。巣箱の観察では、シジュウカラの巣の跡と卵の殻を見かけることが多い。時にはヤマネが巣の中に住んでいて歓声が上がることもあった。