校長室だより

「答えがない問題 答えが出にくい問題」

 3月の集会では、哲学について話しました。図書室に、「10歳の君に贈る、心を強くする26の言葉 ~哲学者から学ぶ生きるヒント~」(えほんの社)があって、手に取ってみたからです。冒頭に、
「古代から数々の哲学者は、世界や人間について考えてきた。いまだ答えが出ないもの、心理を追究したもの、人の心を救うもの…。しかし世界はとても広く、まだまだ多くの謎に包まれている。(中略)哲学を通して、君は今まで意識したことがなかった世界を見るだろう。(後略)」
 図書館で調べると、たくさんの子ども向け哲学書があることがわかりました。そこには、素朴な疑問への考えが示されています。例えばこのような疑問です。
「勉強ができないけど、どうしたらいいの。」
これには、ソクラテスの「無知の知」が紹介されていました。みんな自分が知っていると思い込んでいるだけで、実は何もわかっていない人が多い。思い込んでいると先に進めないので、何も知らないと知っている人は前に進める。できないとわかっているから、努力できると紹介しています。改めてこうした言葉にふれると、新たな考えがわいてくるようです。いろいろなことを知って考えることを、心の小部屋を増やすと表現してありました。心の小部屋を増やすと心が強くなる。そう信じたいです。
 今はコロナ禍で、これまでにない学校生活を過ごしています。
「よりよい生き方って何だろう。」「本当の幸福は何だろう」
この時間だからこそ、考える価値があると思います。考えることによって、よりよく生きるヒントがつかめることを願っています。