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1 研究主題
主体的・協働的に学ぶ児童の育成 ~「学ぶ楽しさ」、「わかる楽しさ」を追求した授業改善~ |
2 研究主題設定の理由
学習指導要領においては,「2030年は少子高齢化がさらに進行し,グローバル化 や情報化が進展する社会の中では,先を見通すことがますます難しくなる」としている。そして,そのような予測できない未来に対応するためには,自分の夢や希望に向かって 社会の変化に主体的に向き合い,その過程を通して,一人一人が自らの可能性を最大限に発揮し,よりよい社会と幸福な人生を自ら作り出していくことが重要であると指摘している。社会の加速度的な変化の中で,蓄積された知識を礎としながら,膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し,自ら問いを立ててその解決を目指し,他者と協働しながら新たな価値を生み出していくことができるよう,そのために必要な資質・能力を身に付けることが重要である。
本県においても,予測困難な時代をたくましく生き抜く力を育むことを特に重視し,「未来を切り拓く力の基礎を育む」ための基本施策として,「個別最適な学びと社会とつながる協働的な学びの実現」が挙げられ,確かな学力の育成を目指している。(「栃木県教育振興基本計画2025」)
日光市では,「個別最適な学びと協働的な学びの推進」に取り組み,主体的・対話的で深い学びのある授業づくりと,ICTを活用した学習活動の充実を推進している。
本校においては,具体目標の一つである「かしこく(確かな学力の育成)」における重点推進項目として,
◎ゴール(子供の姿)を明確にした授業構成の工夫・改善
◎学力状況調査等の分析・活用による課題の明確化と授業改善の取組(CAPDサイクルの構築)
◎ICT等の活用による個に応じた学習活動の充実
が示されている。
本校では,昨年度,「読解力や思考力を高める学習指導の工夫」を目指し,伝え合い,教え合い,高め合いながら,読解力や思考力を身に付ける学習指導の工夫に取り組んできた。読解力や思考力を高めるために,課題や指導過程を工夫したり,共に学び合う授業を目指して,授業ウォッチングと授業後の意見交換を行ったり,ICTを活用した授 業について校内研修をしたりして,学力向上アドバイザーに指導・助言をいただきながら,教師の指導力の向上を図った。また,朝の学習で,MIMや,読解力の基礎を身に付ける練習問題,TTによる学力強化期間の設定,全校読書を行った。さらに,保護者 への啓発も兼ねて,家庭学習強化週間を設けたり,児童の読書意欲を喚起する活動として,親子読書を長期休業中の家庭学習の課題としたりした。
その結果,どの学年でも,児童同士で分からないことを聞き合ったり,考えを出し合ったりする姿勢が見られるようになってきている。学年末のアンケートにおいては,「自分の考えを友達に伝えることが好きである。」と答えた児童が全体の9割を超える結果となった。しかし,年度末のCRT学力テストの国語の結果では,「読むこと」の 領域で,4つの学年で平均正答率が全国平均を下回った。また,算数の思考・判断・表 現の観点では,2つの学年で平均正答率が全国平均を下回り,平均正答率が4割,5割という非常に低い結果であった。これらのことから,友達との対話を通した学び合いを授業の指導過程に入れても,児童の学びが深まったり広がったりするには至らず,確かな学力として身に付いていないということが明確となった。
そこで,今年度は,児童に「学ぶ楽しさ」や「わかる楽しさ」を感じさせながら,確かな学力を身に付けさせるため,授業改善を図っていきたい。児童にどんな力をつけるのかを明確にして,考える場を設定し,友達と一緒に考える楽しさを味わわせたい。児童が,学ぶことの楽しさを感じる場面は,「満足感・充足感を得たとき」「成就感・達成感を得たとき」,「驚嘆し,感動したとき」が挙げられるだろう。自分が「できた」「わかった」だけではなく,「わかった」ことを友達に伝える楽しさもある。児童は,発表しながら,自分の考えを整理したり,友達の意見を聞きながら,自分の考えとの違いに気付いたり,自分の考えを修正したり,新しい考えを発見したりといった活動を行っている。この学習過程が,思考力や表現力を育てることにつながっていくと考える。基礎的・基本的な力を生かして自らの考えをもち,その考えを伝え合い,教え合い,高め合いながら,共に学び合う中で,考えることが楽しいと思えるような授業を工夫改善し実践することで,児童の学力向上につなげることが重要であると考え,本主題を設定した。