ふるさと足尾の歴史

足尾の地名の由来

 「足尾」の地名のはじまり 
 地名の由来として「ねずみの話」があります。むかし、「勝道上人(しょうどうしょうにん)」という僧侶が日光のお寺にいたとき、ある日1匹のねずみが粟(あわ)やひえの穂をくわえて、どこからともなくあらわれたり姿を消したりしたので、上人はこの山奥に、粟やひえの穂があるはずがないと不思議に思って、このねずみの足にひも【緒】(お)を結んで目印にして、そのあとをつけてみると、山のふもとの方に人家がありました。そこで上人はここを「足緒」と名付けたのが、のちに「足尾」となりました。上人はそのあたりは僧が修行をつむのに適している土地だと考えました。その後、上人の弟子たちがこの土地へ来て、修行をつんだり寺をたてたりしたのが足尾のおこりだと言われています。
 一方、学問的には、地形的なことから山の高いところや山のふもとの延びたところを「尾」ということや山の峰(みね)つづきを尾根とよんだりすることから、この地名がつけられたのであろうとみられています。
 足尾の近くに細尾(ほそお)や粕尾(かすお)としいう地名があるのも興味深いことです。また勝道上人とゆかりのあるねずみが入ったという「ほこら」が大黒橋のたもとにあり、現在は「波之利大黒天(はしりだんこくてん)」としてまつられています。                   (2006年発行 「足尾」より)