小来川学報

2020年6月の記事一覧

小来川の由来

 14世紀の南北朝時代の後半、南朝の忠臣といわれた藤原藤房卿は、鹿沼市北方の山ふところまで落ち延びます。そして今の小来川の森崎まで来たとき、薬師堂の丘から眺めた景観を見て、感銘を受け、次のような和歌を詠まれました。
 湧き出でし 水上清き小来川 真砂も(  )の 光をぞ添う
 (  )には色を表す言葉が入ります。どれでしょうか。
①萌葱(もえぎ)
②琥珀(こはく)
③鶯(うぐいす)
④瑠璃(るり)

 答えは、④瑠璃(るり)です。瑠璃色は、紫みを帯びた濃い青色のことです。薬師堂の丘からの景観は、この里のおおらかさと独特の品位を感じさせるものがあって、それに感銘して和歌を詠まれたそうです。この「小来川」の文字が今日までよびならされてます。

ホタルのいる里

 気温が高くなったこの頃、小来川ではホタルが見られるようになりました。ホタルは流れが緩やかできれいな川や水田などの草むらに生息しています。餌になるカワニナがいることが条件です。小来川にはこの条件にあった場所があります。
 風がなくどんより曇った蒸し暑い夜、日が暮れてしばらくすると川や水田の草むらから、ホタルが光る様子が見られます。あっという間に多くのホタルが飛び交ってきます。ホタルが光るのは、おおむね1~2週間程度と言われています。短い成虫時代を精一杯輝いて生きているということです。きれいな川に住むカワニナという貝を食べて成長するため、自然環境のバロメーターにもなっています。いつまでもこの条件が続いていくように祈っています。

勝道上人

 日光山を開いた勝道上人は、日光山の秀峰に関心が深かったそうです。幼い頃から勉強に励んで、20歳で出流山に祈願するためにこもりました。その後、日光山開山を決意して、小来川の星の宮(黒川神社)に祈願するためにこもりました。その時、東の山に光を見たので、鶏鳴山に登って修行しようと決心したそうです。この光とは何だったのでしょうか。
①太陽の光
②満月の光
③UFOの光
④ほたるの光

 答えは、②満月の光です。
小来川では、晴れた夜、満月が東の山から昇ることがあります。この圧倒される光景を見て、勝道上人は決意されたのではないでしょうか。満月の夜、東の空を見てみましょう。