校長室だより

校長室だより

「個別最適な学び」について

  まもなく1学期が終了します。7月22日からは、34日間の夏休みとなります。昨年度は、学校が始まってすぐに臨時休校となり、夏休みも短縮されました。まだまだ例年通りとはいきませんが、プールの授業が再開されるなど、少しずつではありますが学校生活も戻ってきています。子どもたちには、感染症対策を続けながら、夏休みでしか体験できない自然体験など長期休業をうまく活用した過ごし方をしてほしいと思います。合わせて1学期中に子どもたちに配付致しましたタブレットも、大いに活用されることを期待しています。
 ところで、新学習指導要領の中に「個別最適な学び」という言葉が出てきます。「個別最適な学び」とは、一人一人の理解状況や能力・適性に合わせた個別最適化された学びを行うことで、多様な子どもたちが誰一人取り残されることがないようにするのが目的です。個別最適化された学びのベースの一つは、ICT機器を活用した教育方法です。子どもたち一人一人に合わせた学習環境の提供も個別最適化された学びの実現のために重要な要素です。年齢や学年ではなく、子どもの能力に合わせた学習環境を提供し、より子どもたちに寄り添った学習環境の実現が期待できます。タブレットを使えば、苦手科目の復習として既習学年の内容を学ぶことができます。また、予習として、まだ習っていない学年の学習に取り組むこともできます。子どもたちには、自分のペースで、自分の進度に合わせた学習を自由に進めてもらえたらと思っています。
 夏休み中には、たくさんの活動や体験を通して、子どもたちが大きく成長し、始業式には日焼けした健康な体で登校してくるのを楽しみに待っています。

自己有用感について

 「自己有用感」という言葉を聞いたことがありますか。自己有用感とは「自分の属する集団の中で、自分がどれだけ大切な存在であるかということを自分自身で認識すること」です。「自己有用感」が高い子は、思いやりのある行動ができる、友達と協力できる、学習意欲が高いというような意識や自覚があり、集団の中などで「自分に自信を持って主体的に行動できる」ようになると言えます。日本の児童生徒の場合には、他者からの評価が大きく影響し、「褒めて(自信を持たせて) 育てる」という発想よりも、「認められて(自信を持って) 育つ」という発想の方が、子供の自信が持続しやすいと言われています。日常生活の中で使うことはあまりありませんが、毎日の様々な場面の中で育てられていくものです。
  「自己有用感」を高めるには、子供自身に目標や工夫する点、努力する点などを考えさせておき、その基準に沿ってどこまで達成できたのかを評価することが「認める」という行為では重要になります。それが、「自己有用感」を育みます。単に良かった・悪かったと評価するだけの「褒める」では、「自尊感情」(自己に対して肯定的な評価を抱いている状態)を育むことはできても、
「自己有用感」を育むことにはなりにくいのです。「自己有用感」を獲得することは、「自分でもできる」という子どもの自信や集団の一員としての社会性が身につくだけでなく、自分は価値のある人間だということを理解する「自尊感情」を高めることにもつながります。奉仕活動や職場体験活動等の他者との交流体験を通して、他者を好意的に受けとめたり、他者との絆や社会とのつながりを感じとったりする中で「自己有用感」は獲得されていきます。学校と家庭とが連携して、これらのことを意識しながら、子どもに関わっていく必要があります。学校では日常の授業や児童生徒会活動、清掃活動、宿泊学習や様々な行事などを通して指導して参ります。御家庭でも、ぜひ、意識して取り組んで頂けたらと思います。(参考資料:文部科学省 国立教育政策研究所 生徒指導リーフ18)

中学校で新学習指導要領がスタート

 小学校は昨年度から、中学校は今年度から新学習指導要領がスタートしました。
 新学習指導要領には、学校で学んだことが子供たちの「生きる力」となって、明日に、そしてその先の人生につながってほしい。これからの社会が、どんなに変化して予測困難な時代になっても、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして、明るい未来を、共に創っていきたいという願いが込められています。(文科省より)
 また、時代の要請に応える学びを目指す「GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想」が、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、子供たち一人一人に公正に個別最適化され、資質・能力を一層確実に育成できる教育環境の実現に向けてスタートしました。本校におきましては、昨年度は、ZOOMを利用した他校との交流遠隔授業の実施しました。更に今年度は、大型連休前に一人一台の端末の配布をしました。これは、単にコロナ禍のオンライン授業や災害時の対応が目的ではなく、これまでとは根本的に異なる「自ら学べる」教育を実現しようとするものです。一方で、社会の変化を見据え、新たな学びへと進化を目指します。そして、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という理念の実現に向けて、保護者の皆様や地域の皆様のお力をお借りしながら教育活動を充実させていきたいと考えております。御支援・御協力の程、よろしくお願い致します。

 

令和3年度がスタートしました。

 令和3年度がスタートしました。

 私は、4月1日から校長として赴任致しました橋本です。
 鹿沼市からの異動で、日光市での勤務は初めてですので、保護者の皆様、地域の皆様のお力をお借りしながら勤めて参りたいと思っています。また、前校長の後を受けて、穏やかな子どもたちの良さを伸ばしつつ、体力や生活面の課題を少しでも解消できるように学校経営を行っていきたいと考えています。
 どうぞよろしくお願い致します。

  昨年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からたくさんの教育活動が実施できませんでした。現在は、ウイルスの実態解明や対応策も進みました。また新型コロナウイルスワクチンの接種も始まりました。今年度は、プールも実施の方向で進むなど、完全ではありませんが少しずつ例年の教育活動が戻りつつあります。
 しかし、第4波も来ていると言われています。気を緩めず、状況に慣れず、今後も感染症拡大防止に努めながら教育活動を実施していきたいと思います。

 保護者の皆様、地域の皆様の御理解、御協力をよろしくお願い致します。

「ホタルも知ってるきれいな川」

 3年前に小来川小中学校に赴任したとき、「水きよらか 心もきよらか」という生徒会の看板に出迎えていただきました。緊張して学校に向かっていたので、ほっとしたことを覚えています。調べてみると、生徒会で作成した看板は小来川地区内にたくさん存在することがわかりました。でも、その多くが傷んでいる状況にあります。そこで、児童生徒会と学校・PTAで協力して、修繕することを考えました。今年度は、コロナ禍で暗いニュースが多かったので、明るい話題を学校から発信するきっかけにしたいと思っています。現在、15枚の作成を進めています。
  先日、昭和30年代に小来川小中学校を卒業された方が、思い出の品物と写真を届けてくださいました。小中学校時代の思い出をお聞きしました。当時の学報を懐かしそうにご覧になり、現在の学報を見て続いていることに驚かれました。小来川には、たくさんの伝統を受け継いでいこうという強い意志があります。この伝統を今後とも誇るべきものとして、よい形で後世に伝えていきたい。この看板も、その一つ時代を越えてつながっていくもの、そしてこの後の小来川を支えていくのは、標語を考えた子どもたちです。
 学校から家に向かうとき、「ホタルも知ってるきれいな川」という看板に見送られます。今年の夏に、小来川でホタルを見ました。次第に暗くなっていく中で、淡い光が1つ2つと増えていき、数えきれないホタルが舞う様子は、本当に美しい時間でした。看板を見るたびに、あの情景が浮かんできます。