安良沢小だより

校長室より・・・(道徳について)

今回は「道徳」についてです。

 

新聞など様々なメディアでも報道されてきましたので、関心を持って見ている方も多いのではないでしょうか?

私達教員には、そのまま職務に関わることなので、事ある毎に研修会に参加したり、専門書を読んだりしながら試行錯誤し、目の前の子ども達にとって何をすべきか、繰り返し考えてきています。

 

世の中には多くの「評論家」という人がいますが、「教育」、まして「道徳」に関しては専門家でない人達までもが、「道徳の教科化」を話題にして話しているのを何度も見聞きししています。 彼らの中には、内容がほとんど理解されないまま意見を言っている人も見られ、不信に思ったことが何度もあります。(もちろん、そうでない方もたくさんいらっしゃいましたが)

そこで、なおさら「現場の真実」・・・「安良沢小学校の真実」をお知らせしなくては、と思っています。

 

ここでは、本校としての取り組みも交えながら、校長としてお話できることを紹介させていただきます。

一般の方には、あまりなじみのない、専門的な言葉や内容も含まれてしまうと思います。また、かなりの量になるので、何日かに分けての掲載になってしまいますが、話題の性質上、ご理解ください。

 

 

まずは基本のところから・・・「道徳教育」「道徳科」です。

 

「道徳教育」は、「学校の教育活動全体」で取り組んでいくものです。

 目標・・・自分の生き方を考え、自分で判断し自分から行動する中で、周囲の人達と協力しながらよりよく生きていくための土台となる「道徳性」を養う。

 育てたいもの・・・人としてよりよく生きようとする人格的特性

 

「道徳科」は、「特別の教科道徳の授業時間」で取り組んでいくものです。

 目標・・・道徳的価値(例えば「信頼」とか「強い意志」とか)の理解から自分を見つめ、様々な見方があることも知った上で考えを深めていくことで、道徳的な判断力、心情、実践意欲を育てる。

育てたいもの・・・道徳的な判断力、心情、実践意欲

 

ちょっとややこしいですね・・・。

例えば、国語の時間に友達が発表するとき、指導者が初めに、「聞いているみんなが、ちゃんと聞いてあげられると、発表している人も気分よく発表できますよね・・・では、しっかり聞きましょう」と言ったとしたら、これも「道徳教育」のひとつです。学校教育全体で行うものですから、他教科の授業でも、給食指導の時間でも、清掃の時間でも・・・あらゆる場面が「道徳教育の場になります。

 

一方、「道徳科」の授業で「誰かが国語の授業で発表しているとき、聞いている周りの友達が急に話し始めた」という内容の資料を読んだとします。その中で、話し始めてしまったお友達にも、何らかの理由があったことがヒントとして書かれていたとしたら・・・その是非について周りの友達と話し合ってみることになります。はっきり「こうだ」と言える答えがないことだってあるかもしれません。(あくまで一つの例ですが・・・)

ここで、「この人の行動について、あなたはどう考えますか?」ということを通し、子ども達が「多面的」「多角的」なものの見方や考え方ができるよう支援していくことができれば、様々な立場に立って考える「道徳的判断力」や「心情」が養われていくことを期待できます。

 

今回の「道徳の教科化」の話は、「道徳教育」ではなく「道徳科」の方であることがおわかりいただけたでしょうか。
というわけで、ここからは
「道徳科」についてのお話になっていきますので、それを踏まえてお考えください。

 

「道徳科」では、この「多面的」「多角的」という言葉がキーワードです。教科化にあたって、私達教員もこの言葉と何度も向き合い、考えさせられてきました。そして、これからも向き合っていくことになるはずです。

要するに、ひとつの物事も、立場が変わっただけで全く違う様子に見えてくるに違いない、ということです、が・・・私のような大人でも簡単ではありません。


次回以降も、こうしたキーワードがたくさん出てきますので、ご承知おきください。